自分にできないことは素直に教えを請う

当時、札幌の大通公園で女性に声をかけて、その場ですぐに仲良くなってしまう男性がいました。私はその人に、どうやって女性と仲良くなっていくのか教えて欲しいと頼み込んだのです。コーヒー代も食事代も全部、私が払うからと。

無事に弟子となった私は、師匠と一緒に大通公園に立ちました。師匠が女の人に声をかけるのを横で見ながら、メモを取る。師匠が喫茶店に女の人を連れて行ったらついて行って外で待つ。そんな「修行」が続いたのでした。

それでも、いざ自分でやってみると失敗の連続です。そううまくいくはずもないのでした。道行く女の人に「あのぉ……」と声をかけても、「なんですか?」と言われるとドキッとしちゃって後が続かない。「すいません……」と頭を下げて戻ってきてしまう。

師匠からは「ダメじゃねぇかっ!」と叱られ、「断られて当たり前なんだ。何回でも行け」と励まされて……。根気強く練習を続けた結果、2、3カ月後にようやく女性と自然に会話できるようになりました。だから初めての彼女ができたのも、その頃です。

自分にできないことは、それを得意としている人に教えてもらう。そういう動きができることと、人からの教えを素直に吸収できることは、私の強みと言えるかもしれませんね。

「このままではダメだ」という思いの強さ

一見すると脱線ばかりに見える大学生活でしたが、私にとっては社会に出る前の、さらに大きな壁にぶつかる前の青春のひと時でした。

似鳥昭雄『発達障害の私だからこそ、成功できた』(祥伝社)
似鳥昭雄『発達障害の私だからこそ、成功できた』(祥伝社)

講義を聞いて理解するとか、試験勉強で暗記するといった学習がずっと苦手だった私は、別のところで学びを得た。それはアルバイトであり、ナンパ師への弟子入り、仲間たちとの遊びだったんです。

学校や親からの教えだけでなく、こういうところからだって、社会に出る下地を育てられる。そのことを身をもって経験できたことはラッキーでしたし、それが次のステップ、社会人としての第一歩に繫がったと思えます。

こうして振り返ったことで気が付きましたが、「このままではダメだ」という思いは、私の中でひと際強かったのかもしれません。いじめられてばかりだった現実も、女の人と話せなかった現実も、この思いがなければ今でもそのままだったかもしれません。

そしてこの考え方は、私がニトリの社員教育でよく使う「4C主義」という言葉に繫がっていそうです。ニトリでは、次の4つのCを従業員の指針にしています。

・Change(変化:現状に満足せず、常により良いものを求め続ける人)
・Challenge(挑戦:どんなことも前向きに考え、前人未到なことに挑戦していく人)
・Competition(競争:常に自分を成長させることを考えている人)
・Communication(対話:お客様、従業員同士の対話を大切にできる人)

私は、変化を恐れず、できそうもないと思えるほど高い目標を掲げて、仲間とともにそれを実現させることで人は成長していくと思っています。

だから社員には、そのような4C主義を持った人になってほしいとよく伝えているんです。企業も人も、成長するためには変わり続けることが必要ですからね。

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