ナフサ価格高騰がさらに輪をかける
また、現時点の倒産件数は、ナフサの価格高騰による悪影響をほとんど織り込んでいない。おそらく今夏以降、この悪影響を受ける中小零細企業の倒産が件数を押し上げ、リーマン・ショック級の1万1000件に迫るシナリオが否定できない情勢だ。
たしかに、ナフサは企業努力によって代替え調達が進み、一時期の著しい不足感は和らいできている。しかし、ナフサの国内価格は5月に昨年末の2倍に達したのをピークに高止まりが続いているため、幅広い分野で多種多様なモノの値上げが進みつつある。
その結果、さらにインフレや円安が進み、物価高倒産が増えるという悪循環に陥る懸念が高まっていく。もちろん、財源確保のめどが立たないバラマキを繰り返す姿勢を改めなければ、円安と長期金利の上昇という悪循環も同時に進行するだろう。
何故このような状況になってしまったのだろうか。それは、今回のイランを巡る地政学リスクにおいて、高市首相の外交姿勢が初動から間違っていたからだ。
イラン情勢への対応にも失敗している
高市首相は「媚米外交」を優先するあまり、米国のイランへの攻撃が国際法違反だったにもかかわらず、イランだけを批判して同国と真摯に交渉する機会を自ら放棄してしまったのだ。国内経済や国民生活を念頭に置くのであれば、米国に日本の経済的立場を明確に伝え、戦争締結へ向けて平和外交を展開するべきだったと思う。
イランは日本を先進国のなかで公平で対話を重視する国とみなしている。だから、高市首相が米国の攻撃直後にイランへ訪問して外交努力をしていれば、以前のように中東から原油やナフサを輸入できていたかもしれないのだ。
中東の原油は日本経済の生命線であり、このことを理解しているから当時の安倍首相は、第1次トランプ政権の米国とイランの対立が激化していた2019年に、その仲介役としてイランの最高指導者ハメネイ師および当時のロウハニ大統領と直接会談をしたというわけだ。この訪問の成果かどうかはわからないが、とにかく戦争は回避することができた。高市政権のある閣僚が「日本だけが特別扱いで通航を認めてもらえるような抜け駆けはすべきではない」という発言をしていたが、これは国益からみて理解不能な話だ。資源がない日本が取るべき道は、「防衛力を強化する」よりも「外交力をつける」ことではなかろうか。

