金利の大幅な上昇で「倒産ドミノ」が始まる

それに加えて、長期金利の急騰は将来的に、金利負担が大きい企業の経営危機に直結する。借り換えの時期を乗り越えることが困難になるからだ。営業利益で借入金の利払いを十分に賄えない企業、いわゆるゾンビ企業の破綻が増加することは避けて通れない。

【図表】ゾンビ企業の推移と現状
※帝国データバンクの調査を基にプレジデントオンライン編集部が作成

帝国データバンクの2026年1月版の分析によれば、2024年度のゾンビ企業数は約21万社と、全体の14.3%を占めている〔出典:帝国データバンク「経済・経営 2026年1月最新版」(2026年1月29日)〕。2022年度の約26.7万社(全体の18.2%)をピークに2年連続で減少しているのは、コロナ(ゼロゼロ)融資返済で倒産・休廃業する企業の増加によって新陳代謝が進んだことが背景にある。

そうは言っても、依然として全企業の約7社に1社が存続を問われる局面にあることには変わりがない。金利の上昇がいっそう進み、かつ長期化すれば、現状では減っているコロナ返済による倒産・休廃業も再び増加に転じる可能性が高い。

「ゾンビ企業の淘汰は経済全体にとって良いことだ」という意見を否定するわけではない。しかし、このまま無責任な積極財政を継続すれば、長期金利は3.0%超えが視野に入り、ゾンビ企業ではない企業にも悪影響が広がっていくのは避けられない。

倒れかかっている巨大ドミノを見上げるサラリーマン
写真=iStock.com/dickcraft
※写真はイメージです

物価高対策の失敗を示すデータ

帝国データバンクによれば、2025年の倒産件数は1万261件と12年ぶりに1万件を超えた〔出典:帝国データバンク「倒産集計2025年1月~12月報」(2026年1月13日)〕。2026年1〜5月の倒産は4307件(前年同期比4.2%増)〔出典:帝国データバンク「倒産集計2026年5月報」(2026年6月8日)〕と高水準で推移し、現状でも2年連続で1万件を超える計算だ。

【図表】倒産件数の推移
※帝国データバンクの調査を基にプレジデントオンライン編集部が作成

倒産の原因は「円安、物価高、人手不足、賃上げ、コロナ融資返済、後継者不足」など複合的だが、直近半年では「人手不足、コロナ融資返済、後継者不足」は減少傾向。その一方で増加しているのが、「高市円安」ともいえる「物価高」による倒産だ。2026年4月は物価高倒産が統計開始以来で最多〔出典:帝国データバンク「『物価高倒産』が急増 4月は108件で過去最多 前年比5割増」(2026年5月13日)〕となり、5月以降も高水準で推移する見通しである。

これは、高市政権の物価高対策が失敗している証左だ。近年の日本経済は、「需要超過」「供給不足」の状況にあるからであり、その現状認識から大きく逸脱した積極財政によるバラマキ対策がうまくいく可能性は極めて低い。

本来であれば、供給力を強化する対策に力を入れないといけないのにもかかわらず、インフレの時に需要を刺激する対策を講じても、それは物価高を加速させるだけで逆効果となる。実際に高市自民党総裁の誕生以来、円安と長期金利上昇が続いている。このままでは、「高市倒産」ともいえるかさ上げ分の倒産が増えていくだろう。