日本にとって不都合な真実
試合終盤、日本はブラジルの反撃に遭うも守り切った。左センターバックに入った鈴木淳之介(コペンハーゲン)が堅実な守りで健闘。チーム内の評価はうなぎのぼりだ。
シャドーで攻撃をけん引した久保建英(レアル・ソシエダ)も、「パラグアイ戦の佐野海舟選手(マインツ)もすごかったですけど、今日は鈴木選手がボールを奪うたび、歓声が上がっていましたね。みんなも(才能に)気づいたと思うし、これからが楽しみな存在です」と絶賛していた。
チーム力が充実し、日替わりでヒーローが出るようになった。
万事、うまくいった歴史的勝利に映ったし、後半の戦いは道標の1つになるだろう。選手たちの反発力は、本大会に向けても頼みの綱になるはずだ。
しかし、サッカーは同じことが2度は起きない。この日のブラジル戦のような試合はW杯では繰り返されない。同じメンバーが揃うこともなく、たとえ揃っても同じ戦いはできず、前半のままだったら大敗もあったはずだ。
そして、金星の日本には不都合な真実だが、かつて「王国」と畏怖された権威は今のブラジルにない。
あくまで興業試合
W杯南米予選は緊急事態で、アンチェロッティ監督が引き継いでどうにか出場権を得たが調子は上がらず、予選5位で勝ち上がったに過ぎない。
百歩譲って、世界王者アルゼンチンに2連敗は仕方ないとしても、ウルグアイに1分け1敗、予選敗退のベネズエラに2分けと勝ち星がなかった。
アウェーの戦績はひどく、コロンビア、パラグアイ、ボリビアにまで負けているのだ。
日本は金星を挙げたが、実状は騒ぐほどのことではない。少なくとも、これで「W杯優勝」と煽るのは、おかしな勘違いを引き起こす。
しかも今回のブラジルはあくまで興行、韓国を大差で下してから来日し、半ば観光気分で心身ともに万全からは程遠かった。
取材現場にいたが、起こるべくして起こったサプライズにも見えた。
前半、ブラジルは完全に日本を凌駕し、いつでも加点できる状況だった。前半の終盤には、格下の日本をいなすようにボールを保持していた。
歯ごたえのなさに、「興行はこれでおしまい」とプレーのスイッチを半ば切ったようだった。韓国を0―5と粉砕していたこともあり、「アジアはこの程度」と侮ったのだろう。

