ブラジル相手に逆転できたワケ

「ハーフタイムで戦術を変えました。後半は僕が使った言葉で言えば“殴りに行った”感じで。その結果で逆転できたので、サッカーって本当にわからないと思いました」

ブラジル戦、右ウィングバックでプレーした堂安律(フランクフルト)は、そう言って胸を張った。戦いの転換こそ、逆転劇が起きた理由だ。

後半、日本は立ち上がりからプレスの強度を上げ、しつこく相手をつかまえた。前へ、前へという姿勢を出し、ボールに食らいついて、直線的にゴールへ迫った。

これを嫌がったブラジルの選手たちがボールを前に運べなくなり、面倒くさがるように、臆したように後ろへ下げたときだ。経験の浅いセンターバックがプレスに慌て、コースを切っていた南野拓実(モナコ)に奪い返され、そのまま蹴り込まれてしまった。

中盤に君臨した鎌田大地(クリスタル・パレス)は、逆転劇の核心を突くように語った。

「ゼロから崩したわけではなく、ボールを奪ってのカウンターで得点できた形でした。良い守備をしないと、良い攻撃はできない。後半は守備がよくなったから攻撃もつながっていました」

前からの守備が攻撃につながった。森保ジャパンは、ダウンから立ち上がったブラジルを激しく殴り続けた。

「点取り屋不在」を解消する上田綺世の勢い

名将アンチェロッティが、「我々ブラジルはミスが影響し、バランスを崩した。戦う姿勢を失い、そこからリアクションできなかった。チームがコントロールを失っていた」と怒りと憔悴が混ざった声で語るほど、ブラジル陣営は失点にショックを覚え、混乱を持て余していた。

中盤から前も守備が後手に回って、簡単にパスを通される。2失点目もクロスへの寄せが幼稚なほど甘く、逆サイドは完全にフリーだった。大外の中村敬斗(スタッド・ランス)に右足ボレーを叩き込まれたのは必然だ。

日本はさらにギアを上げ、1トップの上田綺世(フェイエノールト)が空中戦で何度も勝利できるようになった。

“地上戦”で短いパスをつなげるだけでなく、ロングパスをシュートに持ち込めるため、大いに脅威になっていた。

押し込んだ展開で奪ったCK、上田はニアに入って豪快なヘディングを叩き込んだ。

上田はオランダでストライカーとしての地力を着実に高めている。ブラジル戦の4日前のパラグアイ戦も、出場時間たった数分でヘディングによる同点弾を記録した。

堂々としたプレーぶりでボールを収め、攻撃に厚みを与えていたし、長らく日本サッカーの課題だった「点取り屋不在」を解消する勢いだ。