「高官の不在」で疑念が深まった

もちろん、中国側代表は会場におり、発言もしている。だが、国防相級が正面に立たず、各国閣僚とのやり取りを十分に積み上げなかったことで、政治的には空白が生まれた。中国をめぐる疑念が会場に濃く残り、日本や米国、豪州、フィリピンなどがその疑念をそれぞれの言葉で語ったのだ。その空白に、小泉氏の言葉が鋭く入り込んだのである。

国際会議では、発言の巧拙だけでなく、議論のポジションの取り方が勝敗を分ける。相手がいない場で相手を批判すれば一方的に見えるが、相手が自ら高位の説明者を置かなければ、その批判は「不在によって裏づけられた疑念」に変わる。今回、日本の発言が強く響いた理由は、まさにそこにあった。

そして会場に残されたのは、中国の一度きりの敗北ではなく、それを超えるはるかに大きな問題の輪郭である。