提示された入所費は月40万円

私事で恐縮だが、寝たきり・認知症・皮膚の難病、痰吸引も必要な要介護4の父を受けいれてくれるのは療養型病院しかなかった。費用を聞いたら「おむつ代 月7万円、病衣・タオルレンタル代 月3万2000円」。食費も別途かかり、差額ベッド代のかかる部屋しか空きがなく、入所費は月額約40万円! 経済的に無理だとあきらめた経験がある。

高齢者を助ける介護者
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「入院や入所のコストは侮れません。医療には保険が使えますが、個室しか空いていない、などのケースもあり、そうなると、莫大な額となります。また、高齢者施設では、介護保険を利用することになります。要介護度が上がれば、自己負担も増えていきます。

親が10年、20年生きると想定して、収支を照らし合わせないと、子どもが経済的負担を強いられる状況に追い込まれてしまったり、要介護の親が退所を余儀なくされて行き場を失ってしまったりすることもあります。入院中であれば、後述する病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)、介護関係のことであれば、親の暮らす地元の地域包括支援センターに相談しましょう」

情けとお金は親のためならず

② 毎月振り込んで、親を経済的に援助する

遠方に住む親に対して、子どもがやりがちなのは経済的援助。よかれと思って親の口座に毎月振り込むと、残高が減らない。一見、悪い話ではないように思えるが、これの何が問題になるのだろうか。

実例2 月々の介護費用が逆に高くなってしまう

80代の父親は田舎にひとり暮らし、要介護度も徐々に上がってきた。遠く離れて住む息子のIさんは『せめて介護費用くらいは出してあげたい』と、毎月5万円を父親の口座に振り込み続けた。

机の上に並べられた銀行の通帳と印鑑
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元自営業だった父親は、年金は月6万円くらいで住民税非課税。本来なら特養でも月6~7万円で入所できる状況だった。

ところが息子が甲斐甲斐しく振り込んできたせいで父親の口座の残高は一向に減らない。

特養などの介護保険施設には、資産要件があり、住民税非課税でも、一定以上の貯えがあると軽減対象から外れる。父親の場合、口座に650万円以上あったため、軽減されないこととなった。Iさんによる献身的援助のせいで、月々の支払が10万円強になってしまったという。

親思いの善意が仇となる。やりきれない部分もあるが、この息子はどうすればよかったのだろうか。

「このケースでは、Iさんは、父親の口座に毎月5万円を振り込む必要はなかったのです。父親の介護費用は、父親のお金でやりくりしていれば、残高は650万円を下回って、軽減対象になっていたでしょう。せっかくの思いがかえって親の出費を増やす悪手となってしまったのです。今後、その口座から施設の利用料を支払い、残高が650万円を下回れば軽減対象となるので、Iさんは父親の口座への振り込みを継続してはいけません。」