早生まれが人生の後半で追いつく理由

日本社会は学歴が就職や昇進に強く影響し、新卒一括採用がキャリアの分岐点となる仕組みです。教育年数のわずかな差が所得格差につながりやすいのは事実ですが、それが人生全体を通じてどう現れるかについては、まだ十分に研究が進んでいません。

山口慎太郎『「早生まれ」は損なのか』(中公新書ラクレ)
山口慎太郎『「早生まれ」は損なのか』(中公新書ラクレ)

一方、北欧では事情が異なります。スウェーデンの経済学者フレドリクソンらは、1935年から1955年に生まれた人々を対象に、教育歴から退職までの収入を生涯にわたって追跡できる行政データを用いて分析しました。

こうした「人生をまるごと追えるデータ」を活用できるのは北欧諸国の大きな強みであり、教育や雇用制度の改善に直結する知見をもたらします。日本でもマイナンバー制度などを活用すれば、将来は同様の研究が可能になるかもしれません。

分析の結果、学年内の月齢の違いは「働き始めの時期」を前後させるだけで、生涯所得にはほとんど影響を与えないことがわかりました。早く社会に出た人は若いころの収入が多くなりますが、その分引退も早いため晩年の収入は少なくなります。

逆に、遅く社会に出た人は若いころは不利でも、引退が遅れるため晩年の収入が多くなります。こうした差が互いに打ち消し合い、トータルで見ると生涯所得には違いが残らないのです。

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