お通じ毎日の人、週2~3の人「発症率変わらない」

「私は便秘がちだからなあ」と心配する人がいますね。便に含まれる有害な物質が腸に長くとどまることで大腸がんが発生するのではないかというのですが、日本で実施されたコホート研究から、厚生労働省は、「お通じが毎日ある人も、週に2~3回しかない人も大腸がんの発症率は変わらない」と発表しています。(*1)

大腸内の検査について説明する医師
写真=iStock.com/PonyWang
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便秘について言うと、排便のリズムは個人差が大きいので、はっきりした便秘の定義は存在しません。とくに大切なのが残便感があるかないかです。たとえ週に1回しかお通じがなくても、すっきり出るのであれば心配ないことが多いものです。

また、食べたものが出て行くまでの時間は、日本人は平均1日半とされていますが、消化によいものを食べれば1日もかからずに体内を通過しますし、逆に消化に悪いものを食べると3~4日かかることもあります。食事の内容によって大きく変わるのです。

日本人は伝統的に炭水化物中心の食生活を送ってきたので、脂質や蛋白質が豊富な動物性食品の消化が苦手です。そのため、肉、肉製品、揚げ物、乳脂肪を多く含むケーキやクリーム、ナッツ類、チョコレート、スナック菓子などは消化に時間がかかり、お通じが遅れる原因になります。便秘が気になる人は動物性食品の摂取をひかえてみてください。

「予防できるだけの食物繊維」は摂取できている

欧米食の特徴の一つでもある食物繊維の摂取不足は、以前から大腸がんの発生を促すと考えられていました。そのため、日本でも約10万人を対象に大規模な調査がおこなわれましたが、意外なことに、食物繊維を多くとっても大腸がんの発症率が下がる傾向は認められなかったのです。ただし、食物繊維の摂取量を細かく分けて分析し直したところ、摂取量が最も少ない女性のグループは、摂取量が最も多いグループより大腸がんに2倍以上なりやすいことがわかりました。(*2)

この結果が示しているのは、食物繊維の摂取量が非常に少ない人をのぞくと、大部分の日本人は大腸がんを予防できるだけの食物繊維を摂取できていて、それ以上とっても効果は変わらないということです。

もう一つ、大腸がん発症との関連が疑われているのが肉の摂取です。肉は脂質を多く含んでいます。図表3に示すように、脂質を摂取すると、肝臓から胆汁という消化液が分泌されます。胆汁の主成分は胆汁酸で、肝臓でコレステロールが変化してできたものです。役目を終えた胆汁は大部分が小腸から吸収されますが、脂質の摂取量が多ければ胆汁も大量に分泌され、こうなると小腸で吸収しきれずに、一部が大腸まで流れ込みます。