「風、薫る」にはヒロインの“クセ”が足りない

さすがに、これを全部朝ドラで描くことなどできるはずない。しかし、そんな奇人な振る舞いなくして、怪談へと心惹かれる姿を描くことはできないと思ったのか。ドラマのヘブンは、糸コンニャクを嫌い「ジゴクジゴク」を繰り返してくれた。

さらに史実で八雲とセツが結婚した際に、セツが洋妾呼ばわりされたという史実も、物語として巧みに取りこんでいた。なにより、ドラマのトキは史実のセツがヒステリーを起こすことがあったという記録を取りこんでか、決して完璧な女性とは描かれなかった。

ようは、この、リアルに近くにいたら迷惑しそうな2人のクセの強さを描くことで、割れ鍋に綴じ蓋な夫婦となって人生を共に歩んでいく姿が完成していたのである。