「なぜ」ばかり聞かれて萎縮してしまう若手
20代の社員とのキャリア面談でよく出てくるのが、上司が怖いという話です。
「上司に質問されると、だんだん本当のことが言えなくなって、つい、とりつくろった答えを返してしまいます。でもそうすると、さらに追及されるのです。最近は、上司に呼ばれるのが怖いです」というようなことを打ち明けられます。
詳しく聞いてみると、その怖い原因は、上司の聞き方であることが多くあります。
若手社員が怯える原因は、上司が発する「Why?(なぜ?)」にあるのです。いわば「Whyハラスメント」。
上司「あの企画書は、そろそろできた?」
本人「今まだ3分の1ぐらいです」
上司「まだ、そこまでしかできていないの。もう1週間も経っているぞ」
本人「急な仕事を先輩に頼まれましたので……」
すると、ここから「なぜ? なぜ?」攻撃がはじまるわけです。
上司「なぜ、それを私に言わないのだ?」
上司「なぜ、それを優先したのだ?」
上司「なぜ、そんな勝手な判断をしているのだ?」
上司「なぜ、頼んだ企画書が重要だとわからないのだ?」
そんなふうに、上司の「なぜ、なぜ、なぜ……」が続きます。
メンバーは、徐々に萎縮して、何も言えなくなり、ついその場しのぎの嘘をついてしまうということが起こるのです。
メンバーが嘘をつくのは良くありませんが、そうさせてしまう原因の一端が、上司の側にもあるということを知ってほしいのです。
「なぜ」が効く場面と効かない場面を理解する
もちろん、「Why?」と聞くのが、すべて悪いわけではありません。たとえば、「Whyを5回繰り返せ」のような「なぜなぜ分析」は、何かの問題事象が発生した際にその問題の原因を究明するような分析手法としては秀逸です。
たとえば飲食業界で、「なぜ、原価が上がっているの?」→「仕入れ量が多く、廃棄が出たようです」→「なぜ、仕入れる量を適切にできないの?」→「食材の廃棄より、販売の機会ロスを恐れているようです」→「なぜ、機会ロスをそんなに恐れるの?」→「売上が目標に届かないと、給与や賞与に影響すると思っているようです」→「なぜ、売上だけで評価しているの?」というように、深く掘り下げて本当の原因に近づいていきます。
しかし、これが機能するのは、みんなで原因を究明して改善しよう、個人を責めるのではなく仕組みを良くするために行おう、ということが共通認識になっている場合です。
対人コミュニケーションにおいては、「Why?」は、相手の落ち度や至らなさを責めるニュアンスになりがちです。人は、責められると、逃れたくなるものです。
では、相手を責めるニュアンスではなく、深掘りしていくにはどうしたら良いでしょうか。たとえば、キャリアコンサルタントは「なぜ、そうしたの?」と問いかける代わりに、「何がそうさせたの?」と言ったりします。ちょっとした違いですが、それだけで、相手は本当のことが言いやすくなるのです。
できるリーダーは、相手を責めないコミュニケーションで心理的安全性を高めて、本当の情報を共有できる状態をつくっています。


