上司に相談しても逆質問で終わってしまう
キャリアに対する意識は、人によって温度差があります。「まずは目の前の仕事を粛々と進めたい」と考えている人にとっては、5年後、10年後のイメージまで持ててはいません。「上司の顔色を見ていると、10年後のイメージは、何か突拍子もないことを言わないと満足してくれない雰囲気があります」と教えてくれた人もいます。
キャリア支援の本質というより、上司が面談で聞かないといけないという義務感が先走っているのではと感じるのです。
もう1つは、「T-WILLハラスメント」です。これも弊社の呼称ですが、日々の仕事であるタスク(Task)についてのWILLの強要です。
メンバーが、仕事の進め方に困って上司に相談しても、
「キミはどう思う?」
「どう進めると良いと思う?」
「キミはどうしたい?」
と、答えを示さずに、逆質問だけで終わってしまうというケースです。
“テクニック”を使いこなせていない管理職
このような現象に陥る人の多くは、「管理職のためのコーチング研修」を受けたり、コーチングの本で学んできたりした人たちです。こちらも大前提で言うと、コーチング自体が悪いわけではありません。人を導く有用な手法です。しかし、「T-WILLハラスメント」を起こしてしまう管理職は、その本質までを理解せず、質問のテクニックに走っている節があるのです。
コーチングも流派によって多少違うでしょうが、「答えは、その人の中にある」「教えるよりも、自分で気づくことが大切だ」という考えを教わり、具体的な「問い」の手法を学んだ管理職は、悪気なく、良かれと思って付け焼刃の逆質問をしてしまうということです。メンバーからすると、質問しても答えももらえず、追い詰められるだけで何も先に進まない感覚になってしまいます。
学んだことを実践すること自体は素晴らしいのですが、これら2つの「WILLハラスメント」に共通するのは、一番大切な「まずは、相手の状況を見極めて、それに合わせる」ということが抜けていることです。その前提があってはじめて、学んだ問いかけが生きるのです。
