同じ食事でも太る人、太らない人の差
私たちを悩ます肥満。そして太っている方の多くのケースにおいて、自律神経全体のバランスの悪さが見受けられます。そもそもじつは、同じものを食べ、同じ運動をしても、太りやすい体質の人と太りにくい体質の人がいます。
脂肪細胞は飢餓状態に備えて、エネルギーを脂肪としてため込む性質を持っています。摂取した過剰な脂肪を際限なくため込み、どんどん肥大化していくのが肥満のメカニズムです。
太りやすさの個人差の謎を解いたのが、当時、東京農工大学に勤めていた木村郁夫特任准教授(現・京都大学大学院生命科学研究科教授)でした。腸のなかに生息する細菌のうちのいくつかは、食べ物を分解して「短鎖脂肪酸」という物質を作ります。短鎖脂肪酸は、血液を通して全身に送られ、やがて脂肪細胞にも届きますが、脂肪細胞はこの短鎖脂肪酸を感知するとある反応を示します。
なんと、細胞内に脂肪を取り込むのを止めるのです。つまり、短鎖脂肪酸が、「栄養は足りているので、もう脂肪として蓄える必要はありませんよ」というメッセージを脂肪細胞に伝えるわけです。
この短鎖脂肪酸を作る腸内細菌の働きこそが「太りやすい」「太りにくい」という個人差の秘密で、腸内環境が悪くなると短鎖脂肪酸の生産量がガクッと減ります。そうすると肥満細胞の暴走を止められず、エネルギーの消費も活発にならないため、太りやすくなってしまうのです。
食べながら「太りにくい体」になれる
では、この短鎖脂肪酸を多く作るにはどうしたらいいのでしょうか。
腸内細菌の善玉菌の大好物である「食物繊維」「発酵食品」「オリゴ糖」をとることによって、短鎖脂肪酸の生産を促すことができるといわれています。具体的には野菜、果物、ヨーグルト、納豆、漬け物、はちみつ、そしてみそなどが代表的な食べ物です。
また、短鎖脂肪酸は自律神経にも働きかけます。短鎖脂肪酸は交感神経を刺激するので、代謝が活発になり、摂取したエネルギーを消費し始めます。すると脂肪の取り込みを止めるだけでなく、燃焼をさらに促進させるのです。
私たちは、じつはもともと「肥満防止システム」とでもいうべき働きを備えています。食生活を改善し、短鎖脂肪酸を多く作ることで、ダイエットも効率よく成功することでしょう。

