誠実さが裏目に出た高島屋のケーキ事件

2023年末に発生した高島屋の「クリスマスケーキ破損騒動」、いわゆる「ぐちゃぐちゃクリスマスケーキ事件」は、対照的な教訓を残しています。有名店の監修によるクリスマスケーキが、配送されたものの、中味がぐちゃぐちゃに崩れた状態だったということで、大問題になりました。

東京の高島屋
写真=iStock.com/winhorse
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有名店のケーキを、高島屋が通信販売で展開するという、正にブランディングに沿った企画となるはずだったものが、受注した3000個近いケーキの内、約800個が崩れていたというひどいものでした。

高島屋はクリスマス直後に記者会見で経緯の説明を行いましたが、結局「原因不明」だと説明しました。「当時と全く同じ環境を再現することは不可能であり、原因の特定はできない」という主張は、限られた時間と調査において、企業としての誠実な報告(真実)だったのかもしれません。

高島屋プレスリリース

しかし真実であれば消費者から納得が得られる訳ではありません。せっかく「原因が特定できる管理体制を構築できなかった責任はすべて当社にある」と、全責任を負う覚悟を発表したにもかかわらず、高島屋に理解を示す声はほとんど聞こえず、本気で原因を追究する気がないなどの批判は残りました。

虫の混入事件で炎上した「ペヤング」

事実であってもゼロ回答として「他人事」のように響く説明では、全く事態収拾には役立ちません。「現時点で原因特定ができていないが、徹底的に追及する」と発言すべきだったと思います。

三越が今回、あえて強い言葉でテナントを断じたのは、こうした「中途半端な説明による不信感」を回避するための高度な戦略だったとも解釈できます。

百貨店ではありませんが、これまた伝説的失敗からの逆転となったのは「ペヤングソースやきそば」のまるか食品です。同社の看板商品であるペヤングやきそばに虫が混入していたと、ツイッター(現X)に投稿がありました。

これに対し同社は商品の回収だけでなく、SNS投稿削除の依頼とともに、「混入は考えられない」というコメントを発表したことで、一気に炎上モードになりました。

しかしこの直後、同社は製造ラインを止め、製造業の本丸を自ら閉じるという徹底した対策に転換します。製造プロセスや環境の見直しに半年もの時間をかけ、再び操業が開始され、ソースやきそばが店頭に並んだ時には、同社を称賛するコメントが相次ぎました。

身を切る改善という、わかってはいてもなかなかできない反省と改善を示したことで、納得感が得られ、その後のV字回復的な伸長につながったといわれます。