「落ち物」系パズルゲームの発展

『テトリス』には1人用のものだけでなく、2人同時プレイモードを備えたバージョンもあります。アタリのアーケード版やテンゲンのNES版では、左右に分割された画面上で二人のプレイヤーが同時にプレイをして「競争」することができます。さらに2台の機械を通信ケーブルでつないで遊ぶ「ゲームボーイ」版の2人プレイモードでは、2段以上のブロックを同時に消すことで、相手のフィールドをせり上げるという「攻撃」も可能になっています。

このように『テトリス』は、コンピュータの力を使い、競争や対立というゲームの本質的要素をも取り込んで、「パズルゲーム」というデジタルゲームのジャンルを確立しました。『テトリス』に始まる「落ち物」系パズルゲームは、その後『コラムス』(セガ、AC、1990年3月)や『ドクターマリオ』(任天堂、FC/GB、1990年7月)、『ぷよぷよ』(コンパイル、MSX2、1991年10月)へと発展していきます。

テトリスは「ジャンル」になっている

冷戦時代のソ連で開発された『テトリス』にはきわめて複雑な開発と移植の歴史があります。220以上の公式バージョンの存在は『ギネスブック』が認める世界記録となっていますが、航空機の機内モニターでプレイできる『インフライト テトリス』(DTIソフトウェア、Android/Linux、2000年12月)のようなバージョンもそこに含まれます。誰もがどこかで何らかの『テトリス』を見たことや遊んだことがあるのではないでしょうか。

機内から見た空と飛行機の翼
写真=iStock.com/Alireza Akhlaghi
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『テトリス』は単なるゲームタイトルであることをこえて、一つの「ジャンル」になっているともいえます。その開発と普及の過程を理解するために重要なものだけでも、次の11のバージョン(年代順)があります。

①エレクトロニカ60版(アレクセイ・パジトノフ、1985年6月または1984年6月6日)
②ソ連でのMS-DOS版(アレクセイ・パジトノフ&ヴァディム・ゲラシモフ、1985年夏)
③ 英米でのMS-DOS版(英:ミラーソフト、1988年1月27日/米:スペクトラム・ホロバイト、1988年1月29日)
④日本でのPC版(BPS、1988年11月18日)
⑤日本でのアーケード版(セガ、1988年12月上旬)
⑥日本でのファミリーコンピュータ版(BPS、1988年12月22日)
⑦アメリカでのアーケード版(アタリゲームズ、1989年2月)
⑧日本でのメガドライブ版(セガ、1989年4月15日発売予定、未発売)
⑨アメリカでのNES版(テンゲン、1989年5月17日)
⑩アメリカでのNES版(任天堂、1989年7月)
⑪ゲームボーイ版(任天堂、日:1989年6月14日/米:1989年7月31日)