世界各地で知られていた「箱詰めパズル」

4つの正方形で構成されたブロックは一般に「テトロミノ」と呼ばれます。「テトリミノ」はこのゲーム特有の名称です。テトロミノには全7種類の形状がありますが、『テトリス』のテトリミノは形状ごとに固有の色が決められています。4つではなく5つの正方形で構成されたブロックは「ペントミノ」と呼ばれますが、これを使った箱詰めパズルが古くから世界各地で知られてきました。

カラフルな形状の木製のパズルブロック
写真=iStock.com/vejaa
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『テトリス』を開発したソビエト連邦科学アカデミーの科学者アレクセイ・パジトノフは、玩具屋で見つけた「ペントミノ」のパズルから着想を得ました。そのパズルをコンピュータで再現する過程で、パジトノフはブロックの正方形の数を5から4に減らし、また単にブロックを隙間なく敷きつめるだけでなく、1つの段が隙間なく埋まるとその段が消滅して下に詰まるというゲームのルールを思い付きました。

パズルは通常「一つの正解」が決まっており、「一度解いたら終わり」で、正解が分かればもうそれ以上は遊べません。それに対してゲームは「正解」が一つに定まっておらず、毎回、異なる展開を経て、異なる結果に到達します。そのためゲームは、パズルとは違い、何度でも繰り返し遊ぶことができるのです。

「パズル」を「ゲーム」に昇華させた

この区別を踏まえるなら、『テトリス』は完全に「パズル」ではなく「ゲーム」です。プレイヤーは、毎回異なるパターンで落下してくるテトリミノを、左右に移動させたり回転させたりして並べて消していき、しかもテトリミノを消す度に、次のテトリミノの落下速度が上がって難しくなるので、どんなプレイヤーでも、それぞれの熟達度に応じて何度でも繰り返し、ほとんど半永久的に楽しむことができます。

『テトリス』のルールは、木やプラスティックで作られたアナログなパズルでは再現不可能です。『テトリス』は、システムの状態とモニター上の映像をリアルタイムに変化させることができるコンピュータの力を使って、「パズル」を「ゲーム」に昇華させたのです。

また「競争」や「対立」も、ゲームをパズルから区別する重要な要素です。パズルは基本的に「一人で遊ぶこと」を前提として作られていますが、ゲームは「競争相手」(それは人間ではなくコンピュータでもかまいません)との「対立」をその本質的要素として含みます。