その余剰電力を北部の産業地帯に送電できればいいのだが、そのための送電網の整備が遅れている。いくつかのメガプロジェクトがスタートしているが、本格的な稼働にはまだまだ時間がかかる。それまでの間、他の電源に拠らなければ北部の電力供給は安定しない。この点、南北の事情が逆転するものの、ドイツでも同じ状況となっている。

そもそも再エネは、天候や地形に対する脆弱性が強い。一方、ガス火力は外生的なショックに弱いことが、今回のイラン発のエネルギーショックでも再認識された。となると原発、それもSMRやAMRのような小型原発の新設が望ましい。ただし実用化の目途が立たないため、老朽施設の再稼働が消去法的に選択肢として浮かび上がる。

モンタルト・ディ・カストロのアレッサンドロ・ボルタ発電所
モンタルト・ディ・カストロのアレッサンドロ・ボルタ発電所(写真=Hengist Decius/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons
モンタルト・ディ・カストロの発電所(イタリア、ラツィオ州)
モンタルト・ディ・カストロの発電所(イタリア、ラツィオ州)(写真=Alessandro Antonelli/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

再稼働したくても、できない

イタリアは2027年12月までに次期の総選挙を控えている。稼働を停止した原発の再稼働は、間違いなくその争点の一つとなるだろう。有権者がメローニ政権を信託した場合、イタリアの原発再稼働は政治的に進みやすくなる。ただし、それを許すだけの経済的・技術的な環境が揃うかはまた別の問題だという、厳しい現実もある。

ドイツも同様だが、イタリアもまた急進的な脱原発の問題点を浮き彫りにする。つまるところ、それは帰還不能点へ早く到達してしまうことに尽きる。ノウハウが失われるため、見直しが利かないのである。脱原発を図るにしても、漸進的に進めていたのであれば、原発を再稼働することもまだ容易だったろう。急進主義は問題点が多い。

原発を再稼働しても、将来を見越した取り組みは必要となる。今後も原発を使うなら小型原発の新設に向けた取り組みが必要となるし、原発を使う、使わないは問わず、再エネの送電網の整備は急務である。イタリアのケースもまた、政治的な決断で脱原発を先行した国ほど、その“揺り戻し”に窮するという厳しい現実を浮き彫りにする。

(寄稿はあくまで個人的見解であり、所属組織とは無関係です)

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