鋭い爪も「飛ぶ敵」には効果がない
夏の山には大型アブのウシアブが大量にいて、酪農家のウシを襲い、クマに取りつき、私の観察をも邪魔する。大きさはスズメバチと同じくらいで姿がそっくりだが、慣れると判別がつくようになり、背中から指でつまんで外に出している。
ウシアブの半分ほどで白いサシバエは噛まれると強い痛みと、続いて痒みが襲ってきて、私にとってはこのほうが脅威だ。夏になるとクマたちはアブに悩まされていて、とくに肌が露出している耳の縁を噛まれ続けるので耳搔きに励んでいる。
そのとき、普段は折りたたんで隠している鋭い爪を繰り出す。5センチメートルもある爪は刃物と同じく鋼色に光る。しかしアブには何の脅しにもならず、クマは堪らず耳を振って追い払うしか方法がない。
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