経験を「勉強と思わせない」

確かに「経験」は大事だが、意図された経験は、「やらされ感」だけが募り、自らの経験にはならない。幼少期の身体的な経験が非常に大事であることは、いろいろなところで言われているので、まじめな親ほどわが子にたくさんの経験をさせている。しかし、それは幼少期からの勉強の詰め込みとなんら変わりがない。わが子のためによかれと思ってやらせていることが、かえって弊害になってしまっていることをぜひ知ってほしい。

ポイントは、「勉強と思わせない」ことだ。子供が夢中で遊んでいたら、ただそれを見守ってあげればいい。料理の手伝いをさせるなら、「あれ〜、なんでお肉は加熱すると固くなるんだろうね〜」、スーパーへ買い物に連れて行くなら「へぇ〜、リンゴは青森産や長野産が多いと思っていたけど、意外と福島産も多いんだね〜」など、ブツブツひとり言をつぶやくように口にするだけでいい。「テストに出るから覚えなさい」というオーラを出した瞬間、子供は嫌がるので気をつけよう。

フライパンで焼かれる鶏肉
写真=iStock.com/Leschenko
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「10の補数」と「てにをは」は重要

また、近ごろは現金を持たず、なんでもキャッシュレス払いをしてしまう親は少なくないが、子供と一緒のときはできるだけ現金で買い物をしてほしい。そして、たまに子供に支払いの経験をさせてみる。すると、10の補数の感覚が身につく。特に小学1、2年でこの感覚をしっかり身に付けさせておくことが大事だ。どんな子供でも勉強のやり方を変えれば成績が伸びていくが、計算が苦手で算数の成績が伸びていく子はまずいないからだ。

また、言葉についても、丁寧に向き合ってほしい。昨今の中学入試はどの教科においても、問題文が非常に長くなっている。算数自体は得意なのに、問題文を読み間違えて得点を落としてしまう子は、毎年必ずいる。特に「てにをは」の理解が曖昧なために、悔しい失点をしてしまうことが多い。言葉は家庭で育んでいくものだ。家庭での会話を通じて、正しい日本語を身につけさせることは、親の責任でもある。