「エンジンを詰め替えなきゃいけない」

父からは、「今から予備校的な勉強をして、頑張れば20点は上げることができるだろう。でも20点だと、どこかでミスをしたり、運が悪かったりするとダメになる。来年はインフルエンザになったとしても受からなければいけないから、現在から100点は上げないといけない。そのためにはエンジンを詰め替えないといけない」という話をされたのです。

確かにそうだなと納得した私は、父に言われた通り、「エンジンの詰め替え作業」と称して、ただただ本を読み続け、それを国語の勉強だと言い張る期間をスタートさせました。

読書は、1日平均11時間ほど。4カ月で、哲学や政治の本など難解なものから、マンガなど気楽に読めるものまで、いろいろなジャンルの本を200冊ぐらい読みました。

デスクに座って問題を解く「勉強」を再スタートしたのは、7月半ばになってから。8月半ばに東大模試があったからです。4カ月ぶりに、まともに勉強を再開し、どんな変化があったのか。結論からいうと、全教科、めちゃくちゃ覚醒しました。

1日11時間、本ばかり読んでいたので、読解力がついて現代文ができるようになるのは想定内でした。驚いたのは、完全に放置していた他の科目も目覚ましく点がとれるようになったことです。休んでいたはずなのに、なぜか全部できるようになっている。これは衝撃でした。

告白のあとの「ありがとう」は…

考えるに、とにかく問題が私に何を問うているのかを理解できるようになったので、答えを簡潔に書けるようになったのです。難解な本を読んでいたことで“語彙力”もレベルアップし、複雑な文章も、スムーズに理解できるようになったんですね。

身体に10キロの重しをつけてトレーニングしつづけ、平気になったころに重しを外したらぐんと軽やかに動けるようになっていた! そんな感覚でした。

腕力トレーニングを行う男性
写真=iStock.com/MRBIG_PHOTOGRAPHY
※写真はイメージです

今回、私が語っている「語彙力」とは、語彙の“量”ではなく、語彙の“深さ”のことです。例えば「ありがとう」という意味は、感謝だけでなく、いろいろな意味で使われますよね。告白のあとの「ありがとう」は拒絶ですし、いらないときの「ありがとう」は遠慮。その意味の広がりをどれだけ知っているか、その深さこそが入試で問われる力だと思います。

語彙力が備わったことで、話す言葉や解答欄に記入する言葉(アウトプット)も大きく変わりました。特に感じた変化は2点。

一つは、言い換える力です。例えば「クビになって地方に行かされた」と言っていたのが「更迭された」とより簡潔に表現できるようになった。