大切なのは自分で考えること
人の気持ちは、そもそも正解があるものではありません。相手が何を考え、どう感じているかは、最終的には、その人にしかわからない。
だからこそ、「どうして怒っているんだろう」「何が原因だったのかな」と、自分な
りに考え、振り返ることに意味があります。このとき、
「ケンカしてしまったんだけど、何が原因だったと思う?」
「自分の言動で、まずかったところはあったかな?」
といった振り返りの相談としてAIを使うのであれば、それはひとつの使い方かもしれません。
しかし、「相手はこう思っているはずだ」「こう感じているに違いない」と、相手の気持ちそのものをAIに判断させてしまうと、自分で考えるべきいちばん大切な部分を、外に預けてしまうことになります。
人を思う力は、答えを知ることでは育ちません。悩み、迷い、わからなさを抱えながら、それでも相手に向き合おうとするなかで、少しずつ育っていくものです。
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AIで再現できない歴史上の人物の気持ち
これに関連して、ちょっと気になることがあります。
最近では、歴史上の人物をAIとして再現し、質問できるような学習も考えられています。これは、学びの入り口としては、とても面白い試みです。
ただし、ここには重要な前提があります。歴史の資料からわかるのは、「何が起きたのか?」「どんな行動をとったのか?」という事実。「そのとき、どんな気持ちだったのか?」については、多くの場合、書き残されていないのです。
それにもかかわらず、AIはまるで本当にそう思っていたかのように、感情を語ってしまうことがあります。
これをそのまま信じてしまうとしたら、それはAIリテラシーが十分だとはいえません。事実を聞くことと、気持ちを断定することは、次元が違います。この違いを、大人が意識して伝えていく必要があるのです。
