体を一度「不安定にさせる」トレーニング
今回は、これまでトップアスリートたちに指導してきたプロ向けの内容をベースに、誰でも取り組めるトレーニングに再構成した「身体操作トレーニング」の中から、腕・上半身の急脱力による落下系の動作である「みぞおち抜き腕落下」を紹介します。
実はこの段階のトレーニングは、多くの方が苦手とする内容かもしれません。なぜなら、無意識のうちに「安定しよう」としてしまう傾向があるためです。
私たちは日常生活や競技動作、あるいはトレーニング動作を通じて、常に「安定させる」「姿勢を保つ」ために力を入れるクセが染みついています。そのため不安定を感じると、反射的に安定状態に戻ろうとする反応を起こしてしまいます。
ですが、身体操作ではむしろ「一度不安定になること」が「動きの協力者」(筋肉への依存度を減らすために活用する身体の内外にある機能やエネルギー)を引き出すためには不可欠です。そして落下も、もちろん「不安定」に内包されます。
落下系のトレーニングでは、バランスを崩してもOKです。なにより安定を解除することが重要です。
安定しようとせず、重力に身を任せて落下する感覚を味わう。
はじめは制御しきれないほどの加速を感じるかもしれません。それほどまで完全に重力に身を任せます。
【みぞおち抜き腕落下】
1.みぞおちを指で押しながら“前後”に動かす
みぞおちを指で押したまま、鼻から息を吸い、吐きながら一気に脱力する。みぞおちを前に出してから、後ろに抜く感覚で行うのがポイント。そのため“前後”に動かす。
2.みぞおちを抜いて、両手を脱力落下させる
動画だと一見、腕を回すトレーニングのように見えるが、動きの肝はみぞおち。ひじを肩の高さまで上げ、みぞおちを抜くタイミングで両腕を揺らすことで全身の緊張を緩和している。みぞおちを急激に脱力させて後方に抜きながら腕を落下させる。
みぞおちと腕を一気に脱力させて、“落とす”感覚を身につけます。一見、腕を回すトレーニングに見えがちですが、腕の動きを借りるのがポイント。腕を揺らすことで緊張が緩和します。
多くの人は腕に力が入りやすく、脱力しようとしても肩や首に余分な緊張が残りがちです。そのため、腕を一気に脱力して振り下ろすのは意外とむずかしく、反射的にブレーキがかかってしまいます。みぞおちも同様に、力が入りやすく抜けにくい部位のひとつです。
この2か所を一気に脱力させてストンと落とす感覚を養うことで、伸張反射や位置エネルギーの転化を利用するための基盤をつくります。
●背骨の支えが抜けて上半身や腕が一気に落ちる感覚
●みぞおちと腕がつながっている感覚
こういった身体操作トレーニングを複数組み合わせることで、最大限のパフォーマンスを発揮するしなやかな体を手に入れることができます。
興味のある人は、ぜひ取り組んでみてください。



