「世の中はうまくいかない」ことを教えてくれる

筋肥大は、ハードなトレーニングを課さないと実現しません。

筋肉痛という痛みを通して自分の身体と「会話」できる感覚は、筋トレ励行の賜物で、それぐらい肉体を追い込まないと筋肥大は起きないからです。

週3日ジムに通うと申し上げましたが、「1日目 胸と背中」「2日目 脚」「3日目 肩と腕」というスケジュールです。「今日は胸と背中の日だ」ってなんだか肉屋のチラシみたいですよね。

そして「最大限10回挙げられる重量で3セット」が基本メニューになります。そこにそれぞれ腹筋と、無酸素運動により尿酸値が上がりやすくなるので、それを回避するために「有酸素バイク30分」を加えています。

一方、世の中には、なぜか「頑張ればうまくいく」「うまくいかないのは頑張っていないからだ」、ひいては「努力すればすぐ結果に結びつく」みたいな風潮があります。特に、生成AIの登場以来、「即座に成果が出る」のが当たり前といった空気感がみなぎっているような感じを覚えるのは、私だけじゃないでしょう。

無論、努力は必要です。でも万能じゃありません。

筋トレを日々積み重ねてゆくと、知らず知らずのうちに、「筋肉は一日たった7グラムしか増えない」が、「何事も手順があるんだ。そんなにすぐにはうまくいかないものだ」という価値観が定着するはずです。

ひいてはそれは「だからこそ、誰だってすぐに物事はうまく運ばないのだろう」と、人を思いやる優しさも「余禄」として生むのではないかとも思います。つまり筋トレは、他者への優しさにもつながる、私はそう信じて疑いません。

「60歳」ならぬ「60キロの壁」がある

そして「筋トレ」励行の余波というか、おまけというか、「自信が芽生えてくる」ことを挙げさせていただきます。

幻冬舎社長の見城徹さんも大の筋トレマニアと聞いていますが、「精神を鍛えるには肉体を鍛えるしかない」と何かのインタビューで答えていました。

以前通っていたジムでの話です。とてもおとなしい感じの中学生が入ってきました。いじめがもとで不登校になったとのことで、親御さんが心配して「せめて成長期、身体ぐらいは鍛えないと」という親心で通わせていました。その子が、ベンチプレスで体重と同じ60キロを挙げたあたりから、顔つきがはっきり変わっていったのです。面白いものですね。

ベンチ60キロなんて、未経験者ならまずほとんど挙げられません。バーの重さ20キロに、左右両側に20キロずつのプレートをつけた状態を想像してみてください。ベンチプレス初心者には、まずこの「60歳」ならぬ「60キロの壁」が立ちはだかります。

当時のその子は、3カ月ぐらいかかって、見事に1回挙げました。

ベンチプレスでいうと、「初級合格」といったところでしょうか。するとそこで、やり遂げた自信がついたらしく、みるみる筋肉が付いていきました。筋肉が付くと顔つきも変わるものです。

それから、その子はごく普通に学校にも通えるようになっていったと、後日、風のうわさで聞きました。男性の場合、顔から下が変わると、顔から上も変わるのでしょうか。