「匿名性」をめぐる病院と行政の溝
日本の赤ちゃんポストの抱える構造的な矛盾、それは、「匿名で赤ちゃんを預け入れることができる」という主旨とは裏腹に、預け入れられた赤ちゃんは児童相談所に一時保護され、児童相談所が児童相談所の責任として親を探すという逆さまな流れのことを指す。
こどもやその家庭が抱える問題を解決するために、生活環境、生育歴、家族関係などの要因を専門的な視点で調査・分析することが、児童相談所運営指針に定められているからだ。すでに赤ちゃんポストが運用されている熊本県では、預け入れられた赤ちゃんについて棄児と同じ扱いをするという判断が下された。
孤立した妊娠女性の差し迫った事情を考慮すると、「匿名」での預け入れは譲れないという慈恵病院と、児童相談所運営指針に則って、赤ちゃんポストの赤ちゃんも特別扱いはしないと決めた児童相談所。「匿名性」をめぐって両者間には分かり合えない関係が続いてきた。
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