骨粗鬆症予防には刺身よりも焼き魚・煮魚を

一般的に、魚料理でもっとも栄養を効率良くとれるのは、生のままいただく刺身だといわれています。加熱調理をすると、EPA・DHAや水溶性のビタミンなどの栄養素が流れ出てしまったり、熱によって壊れてしまったりするからです。

でも、骨粗鬆症予防の観点からは、魚料理は刺身よりも骨つきの焼き魚か煮魚でいただくことを私はおすすめしています。

骨つきのまま調理することで、骨からカルシウムが溶け出して身の部分に含まれることで、カルシウム摂取量の増加が見込めるからです。

サバの塩焼き
写真=iStock.com/Promo_Link
※写真はイメージです

さらに、煮魚を作るときは、少量のお酢を加えると、骨からカルシウムの一部が溶け出す量を増やせる上に、鉄や亜鉛のミネラル吸収率もアップします。

焼き魚の場合は、皮つきのまま調理し、ポン酢、レモン汁、かぼすなどの酸味のある果汁をかけると、皮に多く含まれている亜鉛や鉄などのミネラルも摂取しやすくなるのでおすすめです。

私たちの体内で骨が作られるときは、カルシウムだけではなく、亜鉛などのミネラルも重要なので、皮も必ずいただきましょう。

なお、魚の身の部分にはコラーゲンも豊富です。コラーゲンは、からだを作る上で欠かせない線維状のたんぱく質です。コラーゲンというと肌の組織として有名ですが、骨をはじめ、骨を支える筋肉や、血管など、私たちのからだの組織のあらゆる部位に含まれているので、骨の健康にも深くかかわっています。

ですから、骨粗鬆症予防のためにはコラーゲンの生成も必要なわけですが、魚の皮にも含まれている鉄などのミネラル分は、たんぱく質とともにコラーゲン生成の原料となります。

60歳を過ぎて骨粗鬆症が気になりはじめたら、魚を骨つきのまま調理したり、皮もいただく回数を増やしてみましょう。

加齢による骨折リスクの上昇を防ぐ食事

高齢者の場合、寝たきりのきっかけになることもある、骨折。年齢が上がってくると、骨粗鬆症の人も増え、筋力不足などの影響もあって、骨折リスクはどうしても上昇します。加齢による骨折リスクの上昇を防ぐには、私たちはどんな食事を心がければよいでしょうか。

カルシウムをはじめ、骨を作るときに必要なミネラルやビタミンなどを含む食材を食べるのはもちろんなのですが、実は近年、別の角度から、骨折リスクを抑制する食事のポイントが語られるようになってきました。

カギを握っているのが、骨折とは一見関係なさそうに思える、ホモシステインです。

これはアミノ酸の一種であるメチオニンが肝臓ではたらくときに作られる成分で、近年になって、動脈硬化の原因物質のひとつとして知られるようになりました。

血中のホモシステイン濃度が高くなった状態を「高ホモシステイン血症」といい、からだを酸化させ(サビさせ)、動脈硬化をはじめ、さまざまな病気を引き起こす原因になることが明らかになってきています。

そして、このホモシステインが、どうも骨折とも関係があるらしいのです。近年のある研究では、血中ホモシステイン量が最も多いグループは、血中ホモシステイン量が最も少ないグループと比べて、男性で4倍、女性では1.9倍、骨折リスクが高かったと報告されています。

理由はまだはっきりしていないのですが、ホモシステインには、骨の構成成分でもあるコラーゲンが網目構造を作るのを阻害する作用があり、これが骨折リスクを上げる原因ではないかと考えられています。

高齢者の場合、骨折の2割近くは、血中のホモシステイン値が高いために起こるとする研究報告もあり、実は骨密度の低下以上に、ホモシステイン値の上昇が骨折に影響を及ぼしているのではないかという説もあります。