「妻を失う悲しみに耐えられない」
では、なぜ男性や若い年代で「自分が先に死にたい」と思う人が多いのだろうか。
「自分が先に死にたい」と答えた人にその理由を複数回答で尋ねたところ、「配偶者やパートナーを失う悲しみに耐えられないから」が58.6%と過半数を占め、次に多かった「自分が死ぬときに配偶者やパートナーがそばにいてほしいから」(29.7%)を大きく上回っていた。つまり、配偶者やパートナーの死に伴う悲しみへの不安が、「自分が先に死にたい」と願う背景にあることがうかがわれる。
配偶者やパートナーに先立たれることは、「自分が死ぬこと」よりも、むしろ怖いことなのかもしれない。同財団の2023年調査によれば、自分の死を「とても怖い」と感じている人は、20代と30代では4割を超えていたが、60代以降になるとその割合は大きく減少し、70代では15.1%にとどまった。
一方、大切な人の死を「とても怖い」と答えた人は、20代から50代まで6〜7割近くに達し、60代以上でも約4割にのぼった。すべての年代において、自分の死を「とても怖い」と答えた人の割合を上回っている。また、自分の死を「全く怖くない」と答えた人であっても、大切な人の死については半数以上が「とても怖い」あるいは「ある程度怖い」と回答していた。つまり、自分の死に対して恐怖を感じていない人でさえ、大切な人に先立たれることには不安や恐れを抱いていることが示された。
大学生「先に死にたいのは身勝手」
こうした先立たれることへの不安や恐怖の背景には、他者との関係性の中で安心感や受容を求める、日本人特有の心理である「甘え」が関係していると考えられる。
ある学生は、次のように「先に死にたいなんて思うのは、身勝手なことだと思う」と述べていた。
「パートナーに先に死なれたら、悲しみに暮れる日々を過ごすことになるだろう。だから先に死にたいと考える気持ちには共感できる。でも、それはパートナーにとっても同じはず。なのに、そんな人生が嫌だからといって、パートナーにそれを押しつけるような考え方は、ずいぶん身勝手で、パートナーのことを本当に大切に思っていないように感じる」
配偶者やパートナーへの情緒的な依存が、「自分が先に死にたい」という自己中心的な願いにつながっているのかもしれない。未婚化や非婚化、核家族化が一層進む現代において、多くの人が頼れる家族のいない環境に直面する可能性がある。これからの時代、「個」としてどう生き、どのように死を迎えるのか、そして社会がそれをどう支えるのかが、これまで以上に問われることになるだろう。

