キャラと内容が◎でも音楽は大事

「このアニメ(『勇者刑に処す』)は最高にクレイジーで、映像も素晴らしい!」「突如現れ、その魅力的なストーリーと優れた制作クオリティで私たちを驚かせた。間違いなく今年最高の新作シリーズの一つだ」

「アニメーションも素晴らしく、特に戦闘シーンは秀逸」というコメントがあるように、ADK子会社のスタジオKAIの手腕も光った作品といえる。

一方で、「(魔王現象などの)物語に深みとボリュームが必要」や「サウンドデザインはややありきたり」といった批判もある。設定、キャラクター、アニメーションが高評価の本作の場合、印象に残る音楽ではなかったということが批判の中心のひとつになっている。

音楽×アニメに対するファンの期待値が高い、ということも本作で改めて実感する。

ダークファンタジーといえば、今クール3位の『地獄楽』もそうだ。

極楽浄土と噂される謎の島を舞台に、無罪放免を勝ち取るため「不老不死の仙薬」を巡って死罪人と処刑執行人たちが怪物や己の過去と戦う凄惨なサバイバル活劇である。制作は、まさにこのジャンルで日本最高峰といえる、MAPPAである。

「色彩、アニメーション、サウンド、声優、すべてが本当に美しいです。」「戦闘シーン、アニメーション、全体的なアートスタイルは正直言って完璧です」、などMAPPAの芸術性の高さを称賛する声は引きも切らない。

「キャラクターたちは独自の動きと激しさで本当に「生きている」ように見えます。様々な場面で、まるで画面から飛び出してきて、周囲のすべてを飲み込もうとしているかのように感じられます」

このレビューは、マーベル映画などのハリウッド大作に対するそれと大差ない。アニメにおける表現力は今、これほどリアルに欧米ユーザーの心を捉えるようになってきているのだ。

「呪術」以上だった「違国日記」の高評価

個人的にはTop10には入らなかったが、今回どうしても紹介したい作品がある。『違国日記』である。

両親を事故で失った中学生の朝を、小説家でコミュ障の叔母・槙生が引き取る。姪の心の傷の回復を不器用に見守りながら、生き方の指針を与えていくストーリーだ。

Scoreは8.8と高評価。決して大人気アニメとはいえない本作において、ほぼ誰一人「お勧めしない」というレビューをつけていなかった(唯一のBadレビューは「否定的なレビューが1つもないのをみて、少しイライラして書いた」というもの)。

Membersも2万→9万人と、完全にスコープ外だったところから急激に追い上げている。

【図表2】2026年1~3月のメンバー数とスコア
筆者作成

叔母・槙生の言葉はさすが小説家のものであり、突然の母の喪失に悲しみすら覚えない姪・朝に「悲しくなるときがきたらそのとき悲しめばいい……」と言葉をかけ、気を遣うまわりに対しても「あなたの感じ方はあなただけのもので誰にも責める権利はない」と喝破する。

朝は日記をつけながら、槇生の言葉にすがるようにして生きていく。槙生の不器用だが真理と人の心に実直であろうとするスタンスは、ふと柳本光晴氏の『響 〜小説家になる方法〜』を彷彿とさせる。