海外ファンのアニメ視聴法

【推しの子】第3期も、賛否入り混じるという意味では呪術に並ぶ。一方では「言葉が出ない。すごい。」「ショービジネスの世界に戻ってきました。なんと暗く醜い場所でしょう。」と高評価。

マンガ原作に対して1~2期よりも3期アニメはずいぶんスピーディーに展開している。最終着地である第4期に向けて“巻いてきた”印象もあるが、そのハイペースなテンポが「脚本はより焦点が絞られ、物語はついに勢いを増した」「これまでで最高の『推しの子』シーズンだと言える」など、逆に高評価を生んでいたように思える。

動画工房のアニメクオリティには絶賛も飛んでいる一方、今シーズンに関しては「赤坂先生(原作者)は物語の後半を書くのが得意ではなく、その点がもどかしい」「アクア以外のすべてのキャラクターが、脚本の要求に応じて変化するカメレオンになる」など原作そのものへの指摘も多い。

欧米が中心となるMALのレビューをみていて気付くのは、アニメ視聴前に「マンガ原作人気」を周到に聞きこんだうえで、視聴の選択を行っている点だ。

脚本の筋やキャラクターの掘り下げに関しては原作の評価を調べ、(日本人と同じように)「間違いのないアニメ視聴体験になるか」を確認してから視聴に入っている。

山積みにされた漫画本
写真=iStock.com/Oleh Yatskiv
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だがそれはある意味、アニメ制作会社の手腕や表現を切り出して評価しようという傾向も強いように感じる。アニメ作品を共同体として一括に視聴するのではなく、原作者/出版社/アニメ製作委員会/アニメ制作会社ごとに切り分け、特に原作者/制作会社などのクリエイターそのものがどういった創作性を込めたかを、丁寧に評価しようとしている。

増加率350%のラノベ発アニメ

今回注目したい新作は、『勇者刑に処す 懲罰勇者9004隊刑務記録』である。Membersが配信前の6万人登録から配信終了後の27万人と、増加率350%となった、今クールにおけるピカ一のダークホースといえる。ラノベ発で久々のビックタイトルがデビュー! という感じであった。

2021年からKADOKAWAカクヨムで連載されていた本作は、「“勇者”は大罪人に与えられる刑罰であり、魔王に対する戦場の最前線に、たとえ死んでも蘇生され、戦い続けなければならない」という斬新な設定からはじまる。

主人公ザイロは序盤から強く、重めな雰囲気をまとう二枚目だが、実は大罪を犯した元聖騎士団長という設定。パートナーとなるテオリッタは、人工で作られた超兵器の《女神》。恐れ敬う高貴な存在かと思いきや、「敵を殲滅した暁には、この私を褒め讃え、そして頭を撫でなさい」とただ褒められたいだけの甘えん坊ロリキャラ、という設定もまた秀逸で、この2人のやりとりだけで何杯でも飯が食える。

恋愛に発展する気配がないことも、重要な安心感だろう。

「ストーリーの展開が待ちきれない!!! 注:シスコン、ブラコン、ロリコンのクソ展開がないことを祈る」など、安易なハーレム展開やラッキースケベに対する嫌悪感は欧米ユーザーのほうが強い印象だ。今回最終完結となった、今クール6位の「炎炎ノ消防隊 参ノ章 第2クール」でいまだに「タマキのファンサービス」が炎上の種として言及されていたことからも証明されている。