市民の声が自治体に届かなくなる
自治体基幹20業務の標準化も、そのように進められています。
全体のコストが上がれば、それぞれの自治体の財政負担も相応に増えますが、加えて自治体独自の事情によって、費用が増大する可能性もあります。たとえば自治体では地域特性や住民の要望に応えて、法制度で決まっている業務のほかに、自治体独自のさまざまな事業を行っています。今後は、そのたびに、標準化された国のシステムをカスタマイズする必要とコストが生じます。
結果的に、自治体独自の政策が立てにくくなるかもしれません。これまでも数多くの分野で自治体政策が先行し、その積み重ねによって、国全体の制度改正に結び付くことがありました。地域の課題は自治体が発見するからです。古くは公害対策や開発対策から、個人情報保護もそうですし、空き家対策もそうです。
さらに地域の負担は増える
今後は、標準化されたシステムが壁になって、自治体自らが行動できず、国になんとかしてほしいとお願いするだけのパターンが増えるのではないかと危惧します。それは市民にとっても大きな損失です。
また、市町村は規模の違いが大きいので、たとえば人口数千人の町と数十万人の大都市とでは、それぞれに合わせたシステムが構築されてきました。今後は標準化されるので、個々の自治体にとってはシステムが過大になったり過少になったりする可能性があります。これらのコストも自治体全体で負担することになるのです。
自治体システムでは「標準化」と呼ばれていますが、これが2024年自治法改正で言われているところの「最適化」の中身です。他の自治体とともに、国の行政に一本化することが最適化という意味なのです。しかし、言葉の真の意味の最適化には程遠い結果をもたらすことになります。
(初公開日:2026年2月1日)



