誰にとっての「最適化」なのか

国のデジタル化がチグハグであることは、本書の主旨ではありませんが、2024年自治法改正でも似たようなことが起こりそうです。日々改変される政策や制度によって、システムは巨大化、複雑化し、効率化どころか、そのメンテナンスのための負担が増え続け、システムダウン時の影響が大きくなることが想像されます。

DIGITALの文字
写真=iStock.com/NicoElNino
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技術的な論点は多数あるのですが、ここでは一つだけ原則的な問題について挙げておきます。今回の改正では、第11章に「情報システム」という章が新設され、そこに情報システムの利用に係る基本原則という条文一つが加えられています(第244条の5)。

そこには、自治体は「その事務を処理するに当たって、〔中略〕他の普通地方公共団体又は国と協力して当該事務の処理に係る情報システムの利用の最適化を図るよう努めなければならない」とあります。

あまりにも当然のこととして、つい見逃してしまいそうですが、問題は「最適化」という言葉の使われ方です。一般的に最適化を求めるのは当然のことです。結果はともかくとして、いままでも自治体はそれなりに最適化を目指してきたと思います。

あくまで国主導のシステム移行

しかし、ここで新設された「最適化」は他の自治体や国と協力することを指しています。それぞれの自治体で最適化を目指すことではないのです。どうしてこのような文言が自治法に書き加えられたのかを想像すると、自治法改正の3年前、2021年5月に成立した自治体システム標準化法(地方公共団体情報システムの標準化に関する法律)を思い出します。

この法律は、自治体の基幹20業務(住民基本台帳、固定資産税などから子ども・子育て支援、健康管理まで)について、現在、自治体で使っているシステムを、国が作成する標準仕様書に基づくシステムへリプレイスする義務を自治体に課すものです。

その期限は2025年度末となっていましたが、当初から指摘されていたとおり、それまでに終わる見込みはなく、2025年5月成立の第15次分権一括法で2030年度末まで延期されました(正確に言うと、この作業のために国が自治体に対して用意した基金を5年間延長しました)。