「頭のよい子は、子ども部屋で勉強していない」。20年前、そんな調査結果をまとめた1冊の本が大きな反響を呼んだ。子どもたちは一斉にリビングで勉強を始め、ハウスメーカーは「頭のよい子が育つ家」を全国で売り出した。しかし著者の四十万靖さんは「私の意図は誤解されたまま、ひとり歩きしてしまった」と振り返る。本当に頭のよい子が育つ家庭には、どんな共通点があるのか――。
子ども部屋が勉強部屋と決めたのは誰か
首都圏有名私立中学に合格した子どもたちは家で何をしていたのか?
特に、子ども部屋は何をする場所であったのか? このテーマに基づいて、20年ほど前に私は実際の家庭を調査・研究しました。
調査を始める前の仮説として、子ども部屋こそが勉強部屋であり、子どもたちは学校と塾から家に帰って来たら子ども部屋に閉じこもって勉強しているのだろうという結果を想定して、疑いを持っていませんでした。
その前提で、麻布・開成・武蔵、桜陰・雙葉・女子学院に代表される男女有名私立中学校に合格したご家庭を調査したのですが、結果は驚くべきものとなりました。「できる子は、子ども部屋で勉強していない」という実態が判明したのです。
“できる子は子ども部屋では勉強しない”
ではどこで?
答えは、“家中で勉強していた”ということでした。玄関、廊下、階段、キッチン、リビング、トイレ、お風呂、家中いたる所で勉強していたのです。この調査をまとめたのが『頭のよい子が育つ家』(渡邊朗子氏との共著、日経BP、2006年)です。
そもそも、「子ども部屋=勉強部屋」と決めたのは誰でしょうか? これは誰かがそうしたということではなく、なんとなくそういうものだという、言わば大人の常識だったのです。その常識は『頭のよい子が育つ家』によって見事に上書きされたのです。でも、そこでさらに新たな懸念が生じました。そもそも一般の方は、「頭のよい子」をどのような子どもと思っているのでしょうか? 単に勉強のできる子どもと「どうちがうのか?」をきちんと理解してくれているのだろうか? この機会に、原点に還って、今時代が求めている「頭のよい子」について改めて考えてみるのが本稿の目的です。

