「客寄せパンダ」になった

しかし、結果は私の期待通りにはなりませんでした。デベロッパーやハウスメーカー、建設会社にとっては、マンションや家を売るのが目的であって、頭のよい子が育つ家のコンセプトは、集客という目標のための1つの手段に過ぎなったからです。「日本中の子どもたちを頭のよい子にしたい」という私の思いとは、そもそも目的が違っていたのです。

また、メディアの取り上げ方、特にテレビでは、時間の制約上、結論だけ切り取られる事も多く、そこに至るプロセスが全く無視されてしまい、情報の本当の意味・価値が全く伝わりませんでした。

特に多くあったのが、「頭のよい子はトイレで勉強していた」というもので、トイレに辞典を置いておくとよいという情報提供です。結論としては間違ってはいませんが、なぜそうなのか? というプロセスが無視されているので、当然真意が伝わりません。

逆に、トイレに本置くだけで頭よくなれば、誰も苦労しないという当たり前の反応が返ってきたのです。

過度な愛情は逆効果になる

もう一点、問題となったのはご両親、特に母親のお子さんに対する過度な愛情です。私はこれまで過去20年、200回を超える講演・セミナー・設計相談などを開催してきました。来場者に共通しているのは、子育て中のご両親、特に母親の熱心さです。

一言も聞き逃すまいという真剣な眼差しは私にも十分伝わってきましたが、なぜか、私の話がなかなか広がらないのです。理由は、貴重な子育て情報を「自分だけで独占したい」という過度な愛情・独占欲であったのだと思います。

ソフトにお金を払わないのでプロセスを無視した結果、カタチだけ真似した住宅、自分の家だけ「頭のよい子が育つ家」になれば、あとは関係ないという態度が「頭のよい子が育つ家」の普及を妨げたと思います。皮肉なことに、カタチだけ真似した「頭のよい子が育つ家」のプランは普及しましたが、プロセスが伴わないので、頭のよい子は育ちません。また、プロセスを理解しているご家庭では情報を独占しているので、それでは日々のくらしの中で地域の方々と「生涯コミュニケーション探究学習」を繰り返すしくみができていないので、せっかくのプランも宝の持ち腐れです。