ロシア発のエネルギーショック以来の肥料危機に
イラン発のエネルギーショックを受けて、肥料市場が危機的な様相を強めている。当初は、トウモロコシに利用される窒素肥料である尿素の価格が急騰した。湾岸の産油国では尿素が大量に生成されていたが、それがホルムズ海峡の封鎖によって運搬できなくなったためだ。それが、石油製品と関わりが深い肥料全般に飛び火したのである。
その理由は、イランのみならず、湾岸諸国の広範囲で、産油施設や精製施設が破壊されてしまったことにある。そうした施設が復旧しないことには、ホルムズ海峡の封鎖が解かれたとしても、エネルギーや肥料の供給は回復しない。加えて、エネルギー価格が高騰したため、輸送コストはかなり増大するから、肥料価格は高騰を余儀なくされる。
そう考えた需要家の間で肥料の取り合いが生じており、価格の上昇にはすでに弾みがついている。例えばドイツのニーダーザクセン州の場合、代表的な窒素肥料である硝酸アンモニウムカルシウムの価格が1カ月で15%も上昇したと、3月20日付のユーロニュースが報じている。当然、肥料価格の高騰で、その輸入額も激増することになる。
実際、2022年に生じたロシア発のエネルギーショックの際も、原油価格の高騰に後ズレして肥料価格が高騰し、ヨーロッパの肥料の輸入額が激増した(図表1)。こうしたコストの増大が、後の激しい食品インフレの大きな要因となっている。この悪夢が、ヨーロッパで蘇りつつある。程度の差はあれ、日本も同様の事態に陥ると懸念される。


