SNSで密売に繋がる大学生の危うい日常

2000年代以降はまた、運動部員による違法薬物所持・使用が問題化した。大麻の栽培・所持・使用などにかかわる大麻取締法違反によって大学の運動部員が逮捕・起訴される事件が頻発したのだ。2007年の関東学院大学のラグビー部員が大麻取締法違反で逮捕された事件を皮切りに、23年までに10件の事件が確認できる。

これらの事件は、単独犯は稀で、複数の部員がかかわっているケースが多い。関東学院大学ラグビー部の事件では、部員が寮内で大麻草の栽培までしていた。また、部員が大麻取締法違反で逮捕された場合、その多くの部が無期限活動停止となり、複数にわたる事件で検挙された日本大学アメリカンフットボール部のように廃部に追い込まれたケースもある。

実のところ、大麻使用・所持の広がりは、大学スポーツ界だけにとどまるものではない。検挙数は2014年から右肩上がりである。2014年から23年までの間に全年齢で3.7倍になるなか、30歳未満は6.6倍、20歳未満は15.6倍である(以上、厚生労働省調べ)。

大学生への広がりに拍車をかけているのがSNSである。SNSを通して違法薬物を入手しやすくなっていることは間違いない。違法薬物事犯は、同時に運動部のガバナンスの問題も浮き彫りにする。

日大「空白の2週間」に潜むガバナンス不全

日大の薬物事件 警察への通報はなぜ遅れたか」と題する『読売新聞』の社説では、次のように日本大学のコンプライアンス意識の欠如とガバナンスの崩壊を指摘している。

警視庁には昨年以降、〔日本大学運動部〕部員の大麻使用を疑う情報が何度も寄せられ、そうした情報を大学に伝えていたという。だが、大学が寮を調べたのは今年7月になってからで、この調査で学生の部屋から大麻の植物片などが見つかった。さらに不可解なのは、薬物の発見を大学がすぐ警察に連絡せず、2週間も学内で保管していたことだ。事件の隠蔽を疑われかねない行為で、重大性を理解していなかったと言わざるを得ない。(『読売新聞』2023年8月9日)

日本大学の不祥事が世間の注目を集めたのは、この事件が初めてではない。日本大学アメリカンフットボール部をめぐっては2018年に、部員が試合中に無防備の対戦校選手に背後からタックルして負傷させる「悪質タックル問題」が起き、それを引き金にして日本大学自体のガバナンス問題にまで発展した。

練習を再開し、全体練習で円陣を組む日本大学アメリカンフットボール部
写真=時事通信フォト
練習を再開し、全体練習で円陣を組む日本大学アメリカンフットボール部(2023年廃部)(=2018年6月29日、東京都世田谷区)