単なる御用聞きではない営業スタイル

キーエンス同様に年間平均給与が高いディスコの人材投資をみてみよう。2015年と2025年を比べると、売上は3.1倍になっており、人件費総額(一部推定)は3.5倍の増加である。ところが、従業員数(期首期末平均ベース)は1.8倍しか増えていない。したがって、1人当たり平均人件費は増えており、特にこの5年間の伸びは大きい。

2025年の親会社(グループ全体の従業員の約7割が所属)の年間平均給与額は日本の上場メーカーのなかでもトップ級だ。ディスコとしては人材への投資を、会社の長期的成長のために不可欠の投資と捉え、業績に連動させて従業員へ積極的に還元する方針を掲げている。

さて、キーエンスの利益率はなぜ高いのだろうか。2025年3月期も粗利率84%、売上営業利益率52%、売上当期純利益率38%と、日本の上場会社のなかでも飛び抜けて高い利益率を続けている。

自社工場を持たず、社内で製造するよりも低い価格で仕入れることを可能にしていること、開発部門とともに新製品の開発を担う営業部門に多くの人材を投入し、顧客の要望をすくい上げるとともに顧客に対する製品機能の十分な説明やアフターサービスに注力している。

製造業の常識を覆す収益構造

その結果、製品の高い販売価格を通すことが可能となり、高い利益を生んでいる。売上と利益率を過去に遡ってみよう。売上は1987年の73億円から2025年3月期の1兆591億円まで拡大してきた。粗利率は1987年も80%と高く、その後も74%~84%の間に位置していた。

売上営業利益率は、キーエンスの特色である営業部門の手厚い顧客対応による利益をあげる効率を示しているが、当初より低くはなかったが、売上規模が大きくなるとともにさらに上昇している。

高い利益を継続的にあげていながら、巨額の設備投資は不要な企業では、投資に使わなかったお金が貯まっていくことになりがちだ。こうした余剰資金は、すぐに使える預金や有価証券の形で保有される。

資産の項目では「現預金」「有価証券」「投資有価証券」などが膨らむことになる。毎年多額の利益をあげているキーエンスと任天堂では、現預金・有価証券・投資有価証券の残高がこの10年間にわたり増加し続けており、総資産の7割~8割を占めるほど大きい。もちろん、借入金などの有利子負債の残高はゼロが続いている。