あなたが不完全だからこそ大好き
――テクノロジーをアートに戻す?
「効率のためじゃなく、心を動かすためにテクノロジーを使う」ってことさ。だからエナ、パパに約束してほしい。これから先、テクノロジーという最強の「翼」を手に入れてもいい。スマホもAIもゲノム編集も、どこへでも飛んでいける力を全部使えばいいんだ。でも、その翼でどこへ飛ぶかを決める「心」まで、機械に任せちゃいけないよ。
――心まで機械に任せちゃいけない、ってことか……。
傷つくことを恐れて感情をオフにしたり、失敗を恐れてAIの言いなりになってはダメ。泣いて、笑って、間違えて、恥をかいて、非効率に生きる。そのドロドロした人間臭さこそが、AI時代における君の「最大の価値」になるんだからね。
――ふふっ。なんか元気出てきた。私、計算遅いし、すぐ凹むし、部屋も汚いけど……それが私の「価値」なんだね!
ハハハ! そうさ、胸を張っていいよ! エナは750MBのデータ(編集部注:人間の設計図「ヒトゲノム」はデータ容量で表すとたった750MBしかない)であり、原子の塊かもしれない。でも同時に、世界に一つしかない、代わりの効かない「エナ」という物語の主人公だ。パパは、カンペキなAIより、不完全なエナのことが大好きだよ。
――そんなこと言われてもわかってるし(笑)。……でも、ありがとう。パパも、髪の毛がムダにふさふさで顔が暑苦しくても、悪くないよ!
うるさいなあ、これはパパから人間らしい生命力があふれ出てる証拠なんだよ!(笑)


