訪日中国人は急減したが影響は限定的
もっとも、日本がまったく無傷というわけではない。サウスチャイナ・モーニングポストが出入国在留管理庁のデータをもとに伝えたところでは、2026年1月の中国本土からの訪日者数は34万8710人と、前月の58万7098人から4割超の急減となった。春節期間中の日本渡航を巡り、中国政府が改めて発した警告が直撃した形だ。
同紙によれば、春節連休中の訪日中国人も、前年の推定26万〜30万人から16万〜18万人に減る見通しだ。
影響は長引く気配もある。中国旅行データを専門とする市場調査会社チャイナ・トレーディング・デスクの試算では、中国人観光客のキャンセルによる日本での消費損失は2025年末までに最大12億ドル(約1900億円)に上る。渡航のキャンセルは2026年4月分まで広がっており、同社のバットCEOは、この傾向が通年で続けば累計90億ドル(約1兆4000億円)に達しうると指摘する。
ただ、サウスチャイナ・モーニングポストによると、日本の観光業は年間9.5兆円規模に達する。訪日外国人全体でみれば、1月は352万人と前年12月の349万人をむしろ上回った。
格付け会社フィッチ・レーティングスのエコノミスト、ジェシカ・ヒンズ氏は、「日本への観光は他の地域からは非常に好調だ」と述べる。立命館アジア太平洋大学の佐藤洋一郎学部長が指摘するように、「日本は今のところ吸収できている。観光はタイのように経済の最大の柱ではない」のも確かだ。損失90億ドル(約1兆4000億円)という試算は、日本経済全体を揺るがすにはほど遠い。
脱中国の成長戦略が加速している
JALの視線はすでに、中国の先にある。
同社は2026年1月17日、成田〜デリー線を開設した。プレスリリースは、東南アジア・南アジア・北米を結ぶハブとしての成田の機能強化を狙いに挙げる。2月15日にはインド最大手のLCCインディゴとの3路線でコードシェア(共同運航)も始まり、デリーから成田経由で北米にも日本各地にも乗り継げるようになった。
グループ会社の日本トランスオーシャン航空(JTA)も動いた。国内線が主力の同社が、初の国際定期便となる那覇〜台北(桃園)線を開設し、訪日客を沖縄離島や日本各地へつなぐ。
中国路線の比重が下がるほど、今後中国共産党の意向で航空便が絞られても、日本への影響は限定的になる。JALは今、中国依存の軽減に取りかかっているとも見ることができよう。


