「しゃべる職業に就けてラッキー」

年齢を重ねて交流する範囲が狭くなり、家族にだけ囲まれて暮らすようになると、相手に聞きとってもらう努力をしなくなります。そうならないようにしてほしいです。

声を出せば呼吸筋も、のどの奥の筋肉も鍛えられます。しっかり呼吸すること自体、健康を維持するうえで馬鹿になりません。だから私は、コロナ禍にマスクを強要することにも反対でした。新鮮な空気を吸ってこそ健康でいられるのに、マスクのせいで呼吸状態を悪くしていましたから。

マスクをする家族
写真=iStock.com/Rodolfo Buhrer
※写真はイメージです

また、のどの奥の筋肉が衰えると、日本人の死因の6位にまで上昇した誤嚥性肺炎を引き起こしやすくなります。しっかりしゃべれば、誤嚥性肺炎の予防にもなります。

加えれば、先ほど紹介した長野さんや大竹さんは、いつも相手に反応することで前頭葉を鍛えています。私は彼らに「しゃべる職業に就けてラッキーですね」と伝えました。

彼らは仕事上の必要から運良く老化予防ができている人たちですが、こうした職業と無縁の人も、彼らが享受しているメリットを真似したほうがいいと思います。

麻雀はいいが、パチンコはダメ

日本人は欧米人などとくらべて失敗を恐れがちで、結果が読めることを好む傾向があります。人間の脳は放っておいても、年齢を重ねるにつれ想定外のことを避けるようになります。行きつけの店でしか飲食をしなくなったり、決まった作家の本しか読まなくなったりします。

しかし、想定外を避けてばかりいると、刺激が失われた前頭葉が老化してしまいます。一方、ギャンブルは、ほぼ想定外のことばかりが起こります。前頭葉に刺激を与えて老化を防止する点ではとても効果的で、高齢になってからも麻雀などをやっている人は、意外とボケません。

麻雀など1円でも賭けたら違法ですが、いまは賭けない (タバコを吸ったりお酒を飲んだりもしない)「健康マージャン」が高齢者のあいだでブームになっています。

賭けないのでギャンブル性はないとはいえ、こうした遊びは想定外のことが起こりやすいので、脳の老化防止になります。ボードゲームなども同様です。

ただ、パチンコはお勧めしません。お酒の「一人飲み」がアルコール依存症につながりやすいのと似て、家からのアクセスがよく営業時間も長いと、一人で台に向き合い、延々と続けてしまいがちです。その結果、依存症になりやすいのです。

それにパチンコは、麻雀や競馬、競輪ほど考え抜くものではないと思います。頭を使う度合いが高いギャンブルほど、脳の老化防止に効果的です。

その点、麻雀は大勢で遊ぶので依存症になりにくいといえます。パチンコのように台とにらめっこをするものや、問題になったオンラインカジノのように一人でスマホと向き合うものには、「一人飲み」と同じ危険性があります。

競馬や競輪などの公営競技は、公的機関が開催するギャンブルで、お金をけることが例外的に許されています。お金がかかっているだけにスリルがあって、免疫力が向上する効果があります。頭を使うし、勝つために自然と勉強するので、脳の刺激にもなります。