想定外は不愉快でも脳が活性化する
たとえば営業職の人が、失礼な客に会ってひどいことを言われるのは、不愉快でしょうが想定外のことに対処するので、前頭葉は活性化します。
ラジオパーソナリティという仕事も想定外のできごとが起きやすく、前頭葉が老け込みにくいのだと思います。「毎日違う人に会って意見を聞くので、脳にいいのではないですか」と伝えたら納得してもらえました。
もう一つ、この仕事が前頭葉へのよい刺激になると思うことがあります。意見を聞いてまとめることも、自分と違う意見に対応することも必要でしょう。そうしたアウトプットが脳にいいはずです。
同時に声を出すこと自体が、健康に寄与するのだと思います。だから、ラジオだけでなくテレビのしゃべり手もみなさん元気で、話が淀みないです。当時、浜村淳さんは89歳で、森本毅郎さんは85歳、毒蝮三太夫さんは84歳。喋っていると本当に若々しいです。
私が高齢者の方を見て「大丈夫かな」と懸念するのは、次の二つの点が感じられたときです。経験的に、それらは寿命と密接に結びついているように思えます。
一点目は、体重が減ってくることです。家族に聞くと「最近、食が細くなりましてね」などといわれます。食欲が減退して体重が落ちるのは、健康長寿と反対の傾向です。二点目は声がだんだん小さくなって、聞こえにくくなることです。
これも健康長寿から遠ざかってしまう傾向です。でも、ラジオパーソナリティの方々は声が衰えません。
しゃべる職業を真似よう
私は「ゲーテ」という雑誌で80代の人と対談を重ねています。たとえば、元オリックス社長の宮内義彦さん、初代Jリーグ・チェアマンの川淵三郎さん、プログラマーの若宮正子さん。みなさん元気で、とくに共通していると感じるのは声の張りです。
声を聞いた瞬間に張りがあると感じると、「この人はまだまだ長生きするな」「これからもしばらく元気でいるだろうな」と思います。みなさん意図的に声をしっかり出していらっしゃるのではないでしょうか。それがいいのだと考えています。
私自身は、若いころは早口でなにをしゃべっているのかわからないと揶揄されたものですが、最近、講演を数多くこなすようになって、「和田先生、声がとおりますね」と言われます。事実、そういわれるようになってからのほうが、自分が元気な気がしています。

