3〜4歳でも「見た目」で判断している

信頼性の評価が高い顔を良い人と見なすのは、3歳や4歳の子どもからという結果もあります。たとえば、子どもたちは幼稚園に入るころには、戦隊物遊びに熱中しだして、周りにいる大人を悪者にしたてて攻撃し始めますが、大人たちが作り上げた戦隊物の世界には、大人たちのイメージが反映されています。悪役は黒い服を着ていじわるそうな顔つきをしていて、主人公は明るい色の服を着て明るい顔をしています。

山口真美『美人はそれほど得しない? ルッキズムの科学』(ハヤカワ新書)
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このように対極的にそれぞれの役割を描くことで、話をわかりやすくしているのですが、子どもたちはその洗礼を受けていることでしょう。つまり、子どもたちがする良い人/悪い人の判断は、生まれつきだけでなく、子どもなりに目にしたメディアの影響を受けている可能性があるのです。

一方で、生後6~8カ月の赤ちゃんでも、信頼性の高い顔をそうでない顔よりも好むこともわかっています。私たちの研究室でも、トドロフたちの作った信頼性の高い顔や支配性の高い顔を生後6~8カ月の赤ちゃんに見せ、顔の好みを調べました。

実験の結果、信頼性の高い顔をそうでない顔よりも好むことがわかりました。3歳や4歳なら、大人の様子を見て信頼性の高い顔を好むようになることはありえるでしょう。それが赤ちゃんであっても同様の結果が見られたことは不思議です。おそらく信頼性の高い顔の持つ、独特の微笑みのような表情に魅せられたのだと思います。

顔の信頼性は罪状判断につながる可能性も

表情の認知については、感情が関わることから幼い赤ちゃんのころから敏感です。生まれたころから表情を察知し、生後半年程度で表情の区別ができます。ということは、赤ちゃんは表情の違いから人を区別し、それが「良い人」と「悪い人」の区別へとつながっていく可能性があります。

ここで極端な話を紹介しておきましょう。信頼性は、罪状判断の鍵ともなる可能性が研究から示唆しさされています。

フロリダの矯正局の死刑と終身刑の犯罪者700名の顔写真を大学生に見せて印象を判断してもらった結果、信頼性が低いと判断された顔には、死刑判決の者が多かったというものです。もちろん判決後の顔写真だけの判断ですから、罪状に直接関係しているわけではありません。つまり、信頼性の印象によって、量刑が重くなっている可能性があるわけです。

人の直観的評価をあらためて考え直すべき、少し背筋が寒くなる結果ではないでしょうか。

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