治療費をケチり息子の足を切断

ヘティ・グリーンのドケチエピソードとして最も有名なのが、「治療費をケチったせいで息子が足を切断することになった」というものだ。

ヘティ・グリーンの息子ネッド・グリーンが14歳のころ、事故にあい足を脱臼した。一説によるとスキー中の事故だったようだ。

治療してもらおうと、息子を連れて診療所を回ったが、どこに行っても治療を断られた。訪れたのがいずれも貧困層向けの無料診療所で、富裕層のヘティ・グリーンは追い返されてしまったという。

これに彼女は怒り、無料で治療してくれる医者を意地になって探しているうちに、息子の怪我が悪化してしまった。最終的には壊疽を起こし、足を切断することになったと言われている。その結果、息子のネッド・グリーンは生涯コルク製の義足をつけることになった。

もっとも、実際には複数の医師に多額の謝礼金を支払っていた形跡もあり、「息子の治療費をケチった」は誇張の可能性がある。そんな話が流布するほど「ヘティ・グリーンはドケチ」というイメージが根づいていたのだろう。

彼女の人生の最期も「世界一のドケチ」の名にふさわしいものだった。ある日、買い物を終えたメイドと口論になり、興奮したせいで脳卒中の発作を起こし、そのまま帰らぬ人となったという。

ヘティ・グリーン(1897年)
ヘティ・グリーン(1897年)(写真=Hollinger & Rockey/Library of Congress/PD US/Wikimedia Commons

金持ちになるための「最大の秘訣」とは

何でも「牛乳よりスキムミルクのほうが安くて栄養がある」と主張してメイドを叱ったらしい。かつてのギネスブックはこのエピソードとともにヘティ・グリーンを「世界一のドケチ」として紹介した。

(これについてもヘティ・グリーンは普段から脳卒中の発作を繰り返しており、メイドとのケンカが直接の原因ではない、という説もある)

「スキムミルクのほうがコスパがいい」はその通りかもしれないが、日本円にして約5000億円もの資産を持っているなら、その程度の価格差など気にしなくていいのでは、とも思ってしまう。ただ、細かい損得に徹底的にこだわる姿勢が、莫大な資産を築く上で役立ったのだろう。

ヘティ・グリーンは生涯にわたり年間約6%のリターンを得ていたとされるが、これはそう大きな利益ではない。2025年の日経平均は約26%も値上がりしており、ヘティ・グリーンよりも大きなリターンを得た投資家はたくさんいるはずだ。

ただ、ヘティ・グリーンは大損することがなかった。債券や不動産など手堅い投資を好み、割安な資産を徹底的に選ぶことで安定して利益をあげていた。

1907年に発生した暴落でも大したダメージを受けなかったとされる。それどころか銀行の代わりに低利の融資を提供して、米国経済が暴落のダメージから回復するのに一役買ったという。

「世界一の投資家」ウォーレン・バフェットもまたドケチであることを考えると、結局、金持ちになるための最大の秘訣は「ケチ」なのかもしれない。

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