対する日本だ。一部のエコノミストは、インフレに影響するのは円安よりも資源高だと説明する。確かに、輸入物価指数の変動を要因分解すると、為替よりも化石燃料価格の動きに左右される。とはいえ、輸入物価指数が金額規模の大きい化石燃料に左右されることは統計の作成法から言って当然で、円安の影響を軽視する理由にはならない。

それに、化石燃料、つまりエネルギーの価格は、少なくとも供給サイドに関しては日本がコントロールできない外生変数である。要するに、イランで発生したショックに基づくエネルギー高の悪影響を、日本が自らの手で和らげるには、通貨高に誘導してエネルギーの輸入価格の上昇を抑制する以外に、一義的な方法は存在しないのである。

【図表】原油価格の推移
出所=米エネルギー情報局(EIA)

悪影響は“円高”で抑制できるのに…

一方、通貨と物価の番人である日銀は、物価目標を達成してすでに3年以上が経過しているのに、利上げに慎重な姿勢を堅持する。政府もまた、高市首相のハト派志向が強いことで知られる。言い換えると、日本は円安を放置するマクロ経済運営を継続している。こうした状況では、エネルギー高の悪影響を円高で抑制することはできない。