保護者世代が知らない「上位大学」
しかし、他のエリアに目を向けると、大学間の順位は意外に流動的です。
たとえば地方の国公立大学。首都圏や関西圏の大学志向の高まりにより、かつてほど受験生が集まらず入試難度が相対的に下がっているという指摘があります。保護者の世代よりも確実に合格しやすくなっています。
これは、少子化が著しい、北海道、九州にある旧七帝大の一角、北海道大学や九州大学も他人事ではありません。
地域間で学生の奪い合いが起これば、大学序列にも変化が生じるでしょう。実はその変化はネガティブなものばかりではありません。中堅私大や地方大学の中には、この10年で偏差値や人気度を下げた大学があるのは事実ですが、一方、上げた大学もあります。つまり、二極化しているということです。
「勝ち組」は、近畿大学、東洋大学、千葉工業大学。
とりわけ近畿大学は、積極的な広報戦略やユニークな研究(クロマグロの完全養殖成功など)が話題となり、志願者数全国一(2025年は、千葉工業大学が全国一)を謳った時期もありました。
また、新設校や新興大学が台頭する可能性もあります。
公立の国際教養大学(秋田県)や、私立の大和大学、立命館アジア太平洋大学、また、京都橘大学、武蔵野大学、武庫川女子大学、常葉大学など独自の教育方針によって高い就職実績や学生満足度を誇る大学も出てきています。
ちなみに、京都橘大学、武蔵野大学はいわゆる「老舗」ですが、かつて共学校に衣替えした大学です。武庫川女子大学も2027年度に共学化(武庫川大学)予定です。
このように保護者世代には「上位大学」というイメージがなかった大学にもアンテナを張ることが、とても大切なポイントなのです。
「看板学部」と「著名な教授陣」
さらに、この「上位大学」の内部での変化も注目ポイントです。近年、大学間の競争が激化しているからです。その競争は大学が持つ研究力や、教育の特色の分野で起こっています。
大学間の競争の激化は、受験生にとってはメリットだらけです。なぜそう言えるのでしょうか? 何のための競争か? を考えればすぐわかります。この競争は大学全体のブランド力を上げるための競争です。受験生に選んでもらうために大学は知恵を絞るわけです。ですから、ブランド力を上げるために大学がどんな取り組みをしているかを確認することはとても重要です。
ポイントは「看板学部」「著名な教授陣」の存在です。
大学内に全国的にも評価が高い学部・学科があれば、それが大学全体のブランド力を引き上げる効果があります。
産業界で著名な実績を持つ、プロフェッショナル人材を教授に迎える大学が増えています。そのような教授が指導する研究室は、学生にとって大きな魅力となります。
たとえば、ある理系私大ではソニーやパナソニックなどで長年活躍した技術者を教授として招き、最新設備の研究室を新設しました。
その研究室で最新の技術を学ぶことで、卒業後に有力企業へ就職できるチャンスも広がるでしょう。
実際、AI(人工知能)など新しい分野では、企業の第一線で活躍した専門家が大学教員(実務家教員)となって講義を行うケースが増えています。
そうした最先端の学びが得られる大学は、たとえ、いわゆる「難関大学」でなくても「この分野ならこの大学のこの学部が強い」という評価で存在感が増すでしょう。
このような大学に入学した結果、企業が求める実践的スキルを身につけることができた例は多数あります。
横浜市にある中堅大学である関東学院大学理工学部に進学した子の話です。
研究室で教授から一目置かれ、その教授の伝手でアメリカの大学院に進学。就職活動時にソニー、日立製作所、楽天など大手企業から引く手数多ということでした。
大学選びにおいては単純な序列表だけでなく、大学ごとの強みに目を向けることも一つの手です。
志望校の候補が決まったら、それぞれの大学に「強い学部があるか」「どんな研究で知られているか」「著名な教授や卒業生はいるか」などを調べましょう。
それらが将来的にその大学の価値を左右するポイントになるからです。

