「合掌」が最強の作法である理由
そして、もう一つ、この本でオススメしたい重要な作法が「合掌」と呼ばれるものです。
合掌というと、現代では、仏教のイメージが強く、お墓に向かって行う作法と認識されていますが、合掌は、とても古くから日本人が実践してきた「最強の作法」なのです。
左右、両方の手のひらを、胸の前で合わせるだけですが、この動作には、神様や仏様に対する、日本人の思想と姿勢が、如実に表現されているのです。「二礼二拍手一礼」で、二拍手のあとも、この「合掌」という動作をすることは、とても重要な意味を持っていたのです。
日本人にとって、神様や仏様は、「人間には理解できない存在」として受け継がれていました。
神社やお寺は、人間が作ったもので、そこで受け継がれてきた内容も、突き詰めれば、「どこかで、誰かが、作ったもの」です。
どんなに偉い神官でも、どんなに偉い僧侶でも、「神様そのもの」ではなく、あくまでも「ご縁をつなぐ存在」であるという、「思想」であり「哲学」です。
この基本的な思想は、歴史の中で何度か書き換えられようとしましたが、そのたびに、「大きな変化」がやってきて、「人は神様ではない」「神様は人ではない」という定義に戻っていったのです。
「合掌」という、左右、両方の手のひらを合わせ、静止する姿勢をとるのは、他のことができない状態を意味しています。
「お賽銭」をあげるベストタイミング
これは、「神様や仏様の前では、祈ることしかできない」という、自分の思想を、お伝えするための姿勢なのです。
そのため、日本には「八百万」つまり、人間には数えきれないほど多くの神様がいるのですが、「想いを伝える、伝わるための作法」として八百万の神様に共通して、有効なのです。
現代の神社には、摂社、末社、ご神木など、たくさんの「スポット」が存在します。そのため、体力や体調も考慮すると、なかなか「すべての場所で二礼二拍手一礼」は、「負荷が強すぎる」と感じることも多いでしょう。
そのため、通常は「合掌」を基本としてお参りをして、その神社のご主祭神がお祀りされている「本殿」や「拝殿」の前や、「今の自分に必要な、願意に強い神様」の前では、「二礼二拍手一礼」でお参りするという方式がオススメです。
また、気になるのが、「お賽銭」のタイミングです。
大きな神社には、十社以上の摂社、末社が存在し、それぞれに「賽銭箱」が置かれていることもあります。
お賽銭は、「神様への報酬」ではないですし、義務やルールでもありません。そのため、お参りの作法としても決まりはないのですが、「やっぱり、感謝を伝えるためにも、お賽銭をあげたい」というときは、「お参りの動作を始める前」がオススメです。
なぜかというと、そのほうが、姿勢を崩さずに、お参りに集中することができるからです。また、動作の前だと、賽銭を入れるという動作を行うことなく、「残心」を行い、よい気分のまま、次の場所に移動できるからです。


