O型は重症マラリアが66%少ない

その結果、高熱や頭痛、吐き気などの症状が現れ、やがて赤血球の供給が追いつかなくなり、重度の貧血に陥ります。病状が進行すると、脳に障害が起きて意識が混濁したり、腎臓の機能が低下して腎不全に至ったりすることもあります。

また、マラリアにかかると脾臓が大きく腫れることも特徴です。脾臓は、古くなった赤血球を回収・分解し、新しい赤血球の材料をつくる役割を担っています。マラリアによって大量の赤血球が破壊されると、脾臓はその処理に追われ、次第に負担が増して腫れてくるのです。

マラリアにおいても、血液型によって重症化リスクが異なることがわかっています。2007年に発表された、アフリカのマリの子どもを対象とした研究においては、O型は非O型(A型・B型・AB型)に比べ、重症マラリアの発症が66%少ないことがわかりました。

アフリカの赤ちゃんの健康診断
写真=iStock.com/Avatar_023
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また2023年には、血液型遺伝子の違いにも着目した研究が発表されています。O型の遺伝子型であるOOを基準とした場合、AOやBOよりも、O遺伝子を含まないAA・BB・ABで、マラリアの重症化リスクが高いのです。

また、OO以外の全非O型をまとめると、O型に比べ重症マラリアリスクが約1.49倍高いという結果も報告されました。このように、いずれの調査・研究でも、O型の人の重症化しにくい傾向がはっきりとわかる結果になっています。

「ロゼット」――マラリア重症化の鍵

この違いの背景にあるのが、「ロゼット(rosette)」という現象です。マラリア原虫に感染した赤血球は、まわりの健康な赤血球を引き寄せて集合体をつくります。この赤血球の様子が花びらのように見えることから、ロゼット(バラの花)と呼ばれています。

赤血球の塊であるロゼットは毛細血管の中で詰まりやすく、血液の流れを妨げてしまいます。そう、ロゼットは血栓のようなものなのです。その結果、脳や腎臓、肝臓、肺などの臓器が酸素不足になり、多臓器不全を引き起こす原因となります。

そしてこのロゼットは、O型の人では形成されにくいという特徴があります。これは先ほど説明したように、O型の人がもつvWFの量が、ほかの血液型より少ないことと関係しています。

vWFが少ないと、赤血球同士がつながりにくくなるためにロゼットの形成が抑えられ、結果的に重症化リスクも低くなるのです。