母国語によって母親の感情や愛情が伝わる

しかし、これがうまくできずに両言語を扱う領域が離れると、スムーズに行き来できず、親が期待する「英語と日本語が『どちらも得意』」とはなりにくくなる可能性があるのです。下手をするとどちらも不得意、という中途半端な状態になり、どちらの言語であっても学習がうまく習得できにくくなります。

日本語がスムーズでありつつ、ネイティブ並みに英語を扱えるように育つこともありますが、うまくいかない例も多いです。安易におすすめはできません。

とくに幼少期は、母親の母語で育てることを私たちはおすすめしています。母の感情表現や細やかな愛情表現などを子どもに伝えるのには、母が慣れ親しんだ言語が一番適切です。これにより、2歳頃までに愛着形成ができると言われています。それができなかった場合、生涯にわたって社会性や心の健康にトラブルを抱えるおそれもあります。

ベンチに座る母子
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

日本語なら「あ~、それ触っちゃダメ!」「ダメダメ、危ないから手を放して!」などのように表現豊かに言えるところを、英語ではただ「Don’t touch」になってしまう。

インターナショナルスクールも避けるべき理由

「ちょっとここに座っててね」「座ってごらん」が「Sit down」になってしまう。英語がそれほど流暢でない人が英語で育てようとすると、どうしても表現の幅が狭くなり、繊細な感情が伝わりにくい言葉になってしまいます。

成田奈緒子、上岡勇二『その「習慣」が子どもの才能をダメにする』(SB新書)
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近頃は、夫婦ともに日本人だけれど、子どもをインターナショナルスクールに通わせるため、家庭では英語のみで子育てをしているという方が結構多くおられるようです。インターナショナルスクールは日本に海外赴任している外国籍の子が通う学校ですが、近年、両親とも日本人でも受け入れてくれるところが多くあります。

ただし、授業は当然英語で行われますし、一部の学校は「日常的に日本語を使用している人はNG」だったりします。このような家庭ではあえて日本語禁止で頑張って育てます。子どもは、英語を流暢に話せるようにはなる一方で、逆に親子間での言語による感情のやりとりはとても難しくなる場合があります。