高齢者には年金があるが、若者にはない
これまでの少子化対策は、「子育て支援」の発想から抜け出せず、結婚・出産に積極的にアプローチできない層をどうするかという視点が抜けてきた。
その層の根本的な支援を考えるなら、「結婚で失敗しても、元の状態に戻れる」という安心感を与えられるようなストック補助政策が効果を発揮すると考えられる。
ストック補助は、単なる現金給付ではなく、結婚や出産、住宅や再教育など、人生の初期リスクを吸収するための「限定目的型の社会的資本移転」を行いながら、それを制度的に保障することが重要になる。
現在は高齢者向けの巨大なストック補助である「年金」が中心となっているが、若年層にも同様の視点が必要だ。
「結婚・出産=合理的選択」にするために
ハンガリー政府が真正面から取り組んでいる少子化対策は、同じように少子化に悩んでいる日本にとっても、大きなヒントとなっている。
子育て支援をどれだけ厚くしても、あるいは結婚後の世帯をどれだけ優遇しても、結婚に距離を置いている層が動いていない以上、少子化は止まらないのである。
かといって、結婚を義務化するのは明らかに時代錯誤である。結婚が人生における合理的な選択になる制度環境を整えることが必要だ。
日本がハンガリーと同じ轍を踏むかどうかは、今後の政策設計、とくにその政策に若者のストック支援を充実させるという視点が入っているかどうかにかかっている。
少子化は、日本という国の体力を徐々にむしばんでいく慢性病のようなものだ。切開手術のように一気に患部を取り除く治療ではなく、時間がかかっても、温熱療法のように体質そのものを改善し、回復させていく政策を進めるべきである。


