少子化の根本原因は「世代間格差」
働く若い女性を想定した場合、結婚によって次のようなリスクを負うことになる。
・結婚・出産によるキャリアの断絶
・離婚時の生活破綻リスク
・住宅や教育コストの仕切り直し
・社会保障の世代間不均衡
社会保障についてはもともと若年層にしわ寄せが来ており、結婚をする若者はそれ以外にも大きなリスクを背負い込むことになる。そうなれば、リスクを負いたくない若者が結婚を避けようとするのも当然だといえる。
まずは「コストをかけて結婚しても、人生におけるリスクは増えない」という認識がもてる環境を整えることが必要だろう。
ここで決定的に重要なのが、金融資産の世代間偏在である。
日本と同様、ハンガリーでも家計金融資産の大半は高齢層が保有し、しかも年配者に偏った資産は固定化している。若年層はフロー(年収)を拡大することはできても、リスクを吸収できるストック(資産)を持つことが難しい。
結婚や出産にコストやリスクが伴う以上、自己資本が乏しい状態のまま子育て支援のみで少子化を緩和するのは困難だろう。
若者の資産不足をどうカバーするか
ハンガリーの政策が税控除や給付といったフロー支援に偏り、若者の資産不足を補えていなかった点が、少子化対策としての決め手を欠いた理由だと考えられる。
本格的に少子化を止めたいのであれば、次のような若者の資産不足を補うストック補助政策が必要だと考えられる。
・結婚に失敗しても生活が破綻しないという「保証」
・キャリアが回復できる「制度設計」
・結婚前の若者がリスクをとる気になるのに十分な「準資本」
たとえば、18〜35歳に限定した補助制度を創設して、結婚や出産のときの住宅や再教育に活用できるようにするという方法がある。
また、「生前贈与」を政府レベルでおこない、「親ガチャ」で恵まれていない層にとっても大きな不利にならないような制度づくりも有益だと考えられる。
また、子育て期の社会保険料を将来の給付原資として積み立て扱いにして、ストック化することも有用だろう。
