「結婚に踏み切れない若者」は対象外
考えてみると、子育て支援はあくまで「結婚してこれから子ども持つ人が得をする政策」である。少子化の根本原因は非婚化と晩婚化であって、それに直接効果があるような「結婚できない人を結婚に導く政策」ではない。
少子化については、「子育てコストが大きいことが原因だから、子育て支援によってコストを大幅に下げればよい」と語られることが多いのだが、若いカップルがもつ子どもの数には昔から大きな変化はない。
少子化に根本的に効果がある政策をとりたいのであれば、結婚に踏み切れない若者、とくに非正規雇用の若者の背中を押すような政策が必要となっている。
結婚は「幸せ」から「リスク」へ
ハンガリーの少子化対策についての分析を見ると、とりわけ女性が結婚をためらう理由が、巷でよくいわれるような「価値観の多様化」だけではないことがわかる。
結婚は、人生における「大きな投資」の1つである。かつてのように結婚に幸せ幻想があった時代であれば「幸せになるために結婚する」という価値観が主流であり、結婚を促進する必要などなかっただろう。だが、現在では必ずしもそうではなくなっている。
「この人物と結婚することに、どれくらいのリスクがあるか」という視点が入る以上、その「リスク」を軽減する政策が必要となっている。
そうなると、結婚における「平均的な幸福」を説いてもさほど意味がなく、むしろ「結婚に失敗したときに、どのくらいのリスクがあるか」を明確化することが重要になる。
また、結婚するにはつきあってから結婚するまでに、それなりの「投資」が必要となる。経済的に余裕のある人たちが結婚に踏み切りやすいのは、そのリスクを背負う余裕があるからだと考えられる。
いわゆる「親ガチャ」などによって結婚への意欲が大きく左右されている可能性があるわけである。

