問うべきは「なぜ戻らないのか」
だとすれば、問うべきは「なぜ女性は地方から出て行ってしまうのか」ではなく「なぜ女性は戻ってこないのか」になるわけです。
とはいえ、ここも勘違いしてはいけないのは、単に、男性より少ないだけで、転出した女性が地元に戻らないわけではないことです。
そこで、いったん生まれ故郷を出ていった若者がどれくらいUターンしているかについても見ておく必要があります。
社人研の2023年人口移動調査において、男女年齢別にそのデータがあります。都道府県をまたぐ移動はほぼ20代までで完結するので、30~34歳のデータを見てみます。元データには不詳が含まれているので不詳を除く割合で再計算したものです。
男性
・一度も転出したことがない:38.9%
・転出したがUターンで戻ってきた:26.5%
・転出してそのまま戻っていない:34.6%
女性
・一度も転出したことがない:40.6%
・転出したがUターンで戻ってきた:23.8%
・転出してそのまま戻っていない:35.5%
「出たら戻ってこない」1位は長崎
男性に比べて女性はUターン率が多少低いものの、その分転出率も低いので、「一度も非転出」と「Uターン」をあわせて「結果地元にいる」割合は、男性65.3%、女性64.5%とほぼ同等です。「出ていったら戻らない」非Uターン率は1%ほど女性のほうが高いですが、それもさほど違いがあるわけではありません。
ちなみに、非ターン率は35歳以上では増えもせず減りもせず推移していますので、大まかにいえば、「大体3分の1は生まれ故郷から出ていったきり戻ってこない」がデフォルトなのだと考えたほうがいいでしょう。
もちろん、これは全国値なので、都道府県別にみれば、非Uターン率が高低の差はあります。非Uターン率が高い順に並べると図表2の通りです。
非Uターン率が40%を超えるのは、上から、長崎、佐賀、鹿児島、秋田、福島、島根、岩手の7県です。一方で、20%を下回るのが、愛知と沖縄です。
40%を超える7県にすれば、「出て行ってしまったら戻ってこないのだから流出防止は必要ではないか」と思うのもわからなくはないですが、そんな戦国時代や江戸時代の逃散禁止令みたいなことは現実的ではないでしょう。

